体外受精とラパロどちらを選ぶべきでしょうか?【医師監修】

【医師監修】堀川 隆 先生  琉球大学医学部卒業。国立国際医療センター、国立成育医療センター不 妊診療科勤務を経て、2009年12月より高崎ARTクリニック院長に就任。 国際医療センター勤務時より内視鏡手術・生殖補助医療に従事。成育医 療センターでは難治性不妊治療・加齢と不妊についての研究に取り組む。 B型・みずがめ座。東京から高崎まで毎日、新幹線で通勤しているが、今 夏は猛暑で通勤時は汗だくに。あまりの暑さに短パン姿で通っていたそう。
ネコさん(37歳)からの投稿 Q.34歳の時、ラパロで卵巣のチョコレート嚢腫を除去。 2ヶ月後に自然妊娠しました(結果は流産)。その後、人工授精5回、体外受精に2回トライしましたが、妊娠 まで至りません。最近、生理痛、肛門痛がひどくなって きたので、再度ラパロを受けようか迷っています。担当 医からは「体外受精のほうが近道」と言われましたが、 私は腹腔内をきれいにすれば卵の質がよくなり、また自然妊娠を期待できるのではと思っています……。

ラパロと自然妊娠の可能性

ネコさんは 34 歳のときに一度ラパロ(腹腔鏡下手術)を受けて、その後妊娠していますが、それはやはり手術によって妊娠率が上がったということですか。
堀川先生 ラパロは、年齢が 35 歳未満、子宮内膜症の病変が比較的初期の方であれば、術後の妊娠率が上がると言われています。
つまり、自然妊娠を期待できるようなお腹の中の状態であれば、手術を受けるメリットがあるということですね。
担当医からは「今はエコーでは病変が見られないので、ラパロを受けても妊娠できる可能性は高くない」と言われたそうですが、再度受けるメリットはありますか。
堀川先生 現在、ネコさんは生理痛や肛門痛がひどいとのことですが、そのような痛みやつらさを軽減する意味では効果があると思います。
しかし妊娠に関しては、やはり担当の先生がおっしゃるように、可能性は高くないかもしれません。
3年前に同じ治療をして一度自然妊娠されましたが、その後、人工授精や体外受精などの積極的な治療をしても結果が出ていない。
その場合、再び手術を受けても、初回の時以上の結果を得るのは難しいのではないでしょうか。

年齢と卵子の質

それは、年齢的な問題も大きいということですか。
堀川先生 子宮内膜症のせいで、ある程度卵子の質が悪くなっていることも考えられますが、何のトラブルがなくても質が下がってくる現在の年齢を考えると、手術をすれば劇的に卵子の質がよくなるというのは考えにくい状況だと思います。
たとえば、予約をして半年待って手術をして、その後、また半年自然で様子をみましょう、となると、さらに貴重な時間をロスすることになります。
このような現状を考えると、やはり妊娠への近道ということで言えば、体外受精になるのではないでしょうか。

選択肢はいくつもある

できればネコさんは自然妊娠を望まれているようですが……。
堀川先生 もちろん、手術を受けて妊娠する可能性もゼロではないと思います。
すぐ受けられるのなら、その時のお腹の状況をみてから判断されてもいいかもしれません。
体外受精も前回、結果が出ませんでしたが、まだ何回かトライしてみる価値はあります。
手術後に自然で、または手術をせずに体外受精、手術と体外受精を並行するなど、いくつか選択肢はあると思います。
ただ年齢を考えると、この1〜2年が重要な時期。
先生ともう一度話し合って、早めに判断することをおすすめいたします。
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