子どもが欲しくて頑張っている人、 欲しかった子どもを諦めた人。 今回は、それぞれの道を選んで歩き始めた友人との今後のお付き合いがテーマ。 田村先生が本音で語ります!
【医師監修】田村 秀子 先生 京都府立医科大学卒業。同大学院修了後、京都第一赤十字病院に勤務。1991年、 自ら不妊治療をして双子を出産したのを機に、義父の経営する田村産婦人科医院 に勤め、1995 年に不妊部門の現クリニックを開設。繊細な感性を秘めた、おお らかな人柄が魅力の先生は、A 型のみずがめ座。自らの不妊症や乳がん克服の治 療体験に基づいた心のケアは、女性医師ならでは。最近は、愛車の運転が何より の気分転換とか。ときにはご主人と交代で京都~東京間を往復することも!
まっちさん(会社員・35歳)からの投稿 Q.うちは結婚11年。子どもはいません。 今は子どものいない人生でもいいという結論に至り ました。一方、友人Aは、どうしても諦めきれないと、 いろいろと治療を頑張り、そしてめでたく懐妊! 経緯を知っていた私は心から祝福しました。 しかし、ここから少し様子がおかしくなり始め、 「まっちも頑張りなよ」「応援してるから諦めないで」 と次々メールが。「うちはうちだから~」と返信して も無視。どう付き合えば……? と思っていた 矢先に、Aから流産の報告が。すると今度は、 「短期間だったけど自分がいかにいいママだったか」 という内容のメールが届くように……。ふぅ~。
平和に生きていくためにも 友人のリストを置きかえる
私は〝友達の定義〞だと思います。
なんでも話せる親友しか友達と呼ばない人もいれば、一緒に食事を食べに行くだけの付き合いでも友達と呼ぶ人もいるでしょ?
みんな「友達は大事にしよう」なんて建て前を言うけど、こういうことが起こると本性が見えてしまう。
ここは「年賀状をやりとりするだけの友人」くらいに、リストを置きかえてみてはどうでしょうか。
ただし、人間は誰しも、嫌なことをされてみて初めて自分でもわかる部分というのがあります。
そこでどういう反応をするかは気の持ちよう。
「自分がそうなったら気をつけよう」くらいに受け止め、教訓にできればいいと思います。
よく、子どもがいない人がなぐさめられて、「フン、なにがかわいそうなのかわからない!」なんて憤慨していたりしますが、私は、それは強がりなのではと思います。
世界共通のユニバーサルな認識として、夫婦の基本型というものがある。
男女が生活を共にする目的の一つは、やはり子孫を残す、子どもをつくるということですからね。
ただ、それは価値観の違い。
まっちさんのような夫婦のかたちがあってもいいんです。
私が少し心配なのは、まっちさんが、本当は心の底から子どもを諦めきれていないのかもしれないということ。
もしかしたら、余計につらくて悶々としているのかもしれません。
だからこそ、自分が平和に生きていくために、そういう友人と離れてしまってもいいと思います。
ただし、気の強い人の場合は向こうに向かって矢を射ってしまうと、自分に返ってきますから、のらりくらりとやり過ごすのがいいでしょう。
言葉で返そうとせず、自己処理を。
ストレスはその場で 「ハイ、消化!」がコツ
でもね、考えてもみてください。
結婚、仕事、旦那の出世、子どもの受験……。
こちらはハナから勝負しようなんて思っていなくても、女同士にはそういう付き合いがいっぱいあります。
たとえば、同僚のご主人が先に課長に昇進したものの、その後、左遷で鳴かず飛ばず、とか。みんな聖人君子じゃないから、いい気味だとは思わないまでも、「あんなことばかり言っているから、自分に返ってくるのよ……」なんてことは世の中ザラにあるでしょう。
だからストレスは溜めこまないこと。
「なんで私が?」などと考え込んでいたら夜も眠れなくなります。
医者の仕事もそうですよ。
患者さんの難しい相談や悩みをずっと引きずっていたら、次の患者さんや翌日の診療にも影響してしまいますから。
何か発散する方法をみつけて、一回一回の行動に落としてスッキリしていくことも大切なんです。
そういえば、うちの母が父とケンカしたときに、よく勝手口から安いお皿を放り投げて割っていました。
あれはいいですよ、スカッとするから(笑)。
そんなふうに、物を壊さないまでも、瞬間的にストレスを発散する術を身につけておくといいですね。
ストレスは溜め込むからしんどいんです。受けたその日に「ハイ、消化!」。瞬間沸騰したら冷ます、自分なりのいい方法を見つけるといいのではないでしょうか。
秀子の格言
結婚、仕事、旦那の出世…… 女同士の付き合いは大変。 受けたストレスをすぐに消化する 自分なりの発散法を見つけては?