お互い失敗してきたからこそ結ばれた強い絆 つらい回り道をしてきたけれど あなたはずっとそばにいてくれた。
これからもずっと一緒にいようね。
中学生の頃に出会ったピカさんとご主人のサトシさん。
お互い2度の離婚を経験し、幸せの場所を見つけた 二人の運命の物語を紹介します。
24 歳で1度目の結婚 父の死を機に治療をスタート
ピカさん( 41 歳)がサトシさん( 42 歳)と結婚したのは40 歳の時。
今、お腹の中には二人の愛の結晶が宿り、来年1月に出産予定です。
「彼と知り合ったのは中学生の頃。新婚とはいえ、友だちの期間が長かったので、長年連れ添った夫婦みたいな感じですね」
幼なじみとの淡い恋をようやく実らせてゴールイン。と思いきや、二人が結ばれるまでの道のりはそう単純なものではなく、お互いさまざまな失敗や苦労を経験して、今にたどりつきました。
実は、ピカさんもサトシさんもこれまでに離婚を2度経験。
サトシさんには前妻との間に子どももいます。
「サトシとは中学の同級生で、1年ほどつき合って私がフラれました(笑)。
その後、彼は 21歳の時に、私は 24 歳の時に別々の相手と結婚。
別れてからもずっと友だちづき合いをしていたので、彼の奥さんも私の主人のこともお互いに知っていて、交流
もしていました」
4歳年上の男性と結婚したピカさん。
24 歳と年齢的にはまだ若かったので、結婚後、すぐに子どもをつくろうとは考えていなかったとか。
「仕事をしていたし、まだ夫婦二人でいいかな、と思っていたのですが、結婚した翌年に父が他界。
その時、主人の同僚の方に“お父さんに孫を見せられなかったね”と、言われたんです。
“そういえば全然考えていなかったな”ってハッとして……。
その言葉をきっかけに子づくりを意識し始めました」
でも、それからしばらく経っても妊娠の兆しはなかなか現れません。
いろいろ調べてみたところ、「結婚して2年を過ぎて妊娠しないと、不妊症の疑いがある」ということを知り、ちょうど2年を過ぎた26 歳の時、ピカさんは不妊治療専門のクリニックを訪れることにしました。
医師の対応に疑問を感じ 途中で通院をストップ
「まずは一通り検査を受けたの ですが、特に大きな問題は見つかりませんでした。
ただ、基礎体温に結構ムラが見られたんですね。
ホルモンのバランスが悪いのではないかということで、飲み薬と注射で排卵誘発をしながら、タイミングをはかってもらうことになりました」
しかし、2年近くタイミング療法を続けても妊娠には至らず、人工授精にもトライしてみることに。
「主人には問題がなかったのに、それでもダメでした」決定的な原因がないのに、なかなか結果が出ない苛立……。
さらに、そのクリニックでは先生とうまくコミュニケーションがとれなかったという問題も。
「とても実績のあるクリニックで、いつも患者さんでいっぱいでした。
施設はきれいだし、看護師さんもすごくよくしてくれたのですが、先生のことはどうしても信頼できませんでした。
主人と二人で診察に行ったことがあって、その時、最後に“何か質問はありますか?”って聞かれたんですね。
私は何も考えていなかったので主人のほうをふっと見たら、
“ご主人は問題ないんだから。キミだよ、問題あるのは”って突き放すようにいわれて。
その言葉がグサッと胸に刺さりました。
何かにつけて、上から物を言う感じの先生だったので、診察を受けるのが怖くなってしまったんです。
結果も出ないし、もういいかな、という気持ちになり、結局、途中で通うのをやめてしまいました」
それでも、子どもが欲しいという気持ちは変わらなかったので、 30 歳を過ぎた頃にもう一度別のクリニックを受診。
「そこでも何回か人工授精にトライしました。
でも、やっぱり結果は出なかったんです」
2度目の結婚生活でも 変わらなかった 夫との温度差
4年以上にわたる不妊治療。
お互いの親など、周りからの「赤ちゃんはまだ?」というプレッシャーはほとんどなく、その点ではつらさを感じなかったけれど、夫婦の関係は少しずつほころび始めていったといいます。
「二人でよく旅行にも行きましたし、とても仲のいい夫婦だったと思います。
でも、子づくりのこととなると、主人とは温度差を感じていました。
“子どもが欲しい”と言っている割に、あまり積極的に治療に参加してくれない。
“今日、排卵日だよ”“今日、人工授精だからちょうだい”と言えばしてくれていたのですが、私から働きかけてのこと。
自分からは積極的に動こうとしてくれませんでした」
治療を通して、これまで不満に思っていた夫の性格や姿勢をより感じるようになったとか。
「何をするにしても“どうにかできるだろう”という感じの人だったんです。
妻がしていることをとりあえず見ていれ
ばいい、オレはここで待っていればいいんだ、というスタンス。
それでも彼のことを好きだったので苦ではありませんでしたが、治療となるとそうはいきません。
どんどん一方通行になっていって、次第に私も、治療を頑張ろうという気持ちが薄れてきてしまったんです」
結局、2軒目のクリニックでも治療をストップ。
二人の関係も冷めかかってきていたある日、決定的なことが起こります。
「主人が出会い系のサイトに登録しているのを知ってしまったんです。
そのことを言ったら主人は“この日にして、この日にちょうだい、と言われるのが苦痛だったから”と……。
ショックというか、情けなくなってしまいました。
じゃあ、排卵日以外で求めてくれたかといったら、それもしてくれなかったのに。
もうこの人とは無理だと思い、離婚を決意しました」
ほどなくして二人は離婚。
しかし、別れたものの情は残っていたのか、お互いに「やっぱりやり直したい」という気持ちに。
「その後、1年くらいつき合いました。
家も買っていたので、先のことを話し合って、また籍を入れることになったんです」
33 歳で一度別れた夫と再婚。
子どもも望んでいましたが、以前のことがあったので不妊治療は一切しませんでした。
「今度は失敗したくないと思っていましたが、結局、同じことのくり返しに。
相変わらず、主人は“子どもが欲しい”といいながらセックスレスのままだし、出会い系サイトも続けている。
何も変わらなかったんです」
2度目の結婚生活を諦め、ピカさんは彼と決別することを選択します。