初めての人工授精にトライしたけれど、 1回目でも妊娠できるの? 気になる 妊娠率のお話を内田先生に伺ってきました。
【医師監修】内田 昭弘 先生 島根医科大学医学部卒業。同大学の体外受精チームの一員 として、1987年、島根県での体外受精による初めての赤ちゃ ん誕生に携わる。1997年に内田クリニック開業。1階は奥 様が副院長を務める内科・胃腸科、2階が婦人科。地域の 産婦人科と連携を取り、専門性の高い不妊治療に積極的に 取り組む。趣味は休日のゴルフ。その腕前はジネコでお馴染 みのドクターの間でも評判だそう。O型・おひつじ座。
ともちさん(会社員・24歳)からの投稿 Q. 人工授精1回目で妊娠できた方って いるのでしょうか? 私は、初めて人工授精をしていただいたのですが、 そんなに簡単なものじゃないですよね……。 なんだかマイナスにしか考えがいかないです。
人工授精の妊娠率
ともちさんは、初めての人工授精で妊娠できるか、妊娠率がとても気になるようです。
内田先生 当クリニックのデータによると、人工授精1回目で妊娠できる確率は、よくて 10 %、注射薬によるホルモン療法を交えて 27 %です。
一方、人工授精で妊娠した人の7割は3回目までに妊娠しています。
そこで、僕はいつも患者さんに、「当院では100組のうち、 20 組が人工授精で妊娠されています。そのうちの 14 組は3回以内で妊娠に成功されていますよ」と説明しています。
でも、僕はあまり妊娠率だけにこだわりたくないんです。人工授精は排卵誘発剤などで女性側の条件を整えてから、できるだけいいタイミングで行いたいと思っています。
内科との連携の必要性
内田クリニックには内科もあり、先生の奥様で内科医である明子さんが診察されていますよね。内科の治療との連携はあるのですか?
内田先生 もちろん、ありますよ。生殖医療において内分泌系の疾患を考えたとき、内科との連携はとても重要ですから。妊娠を目指していく過程で解決しておいたほうがいい問題や、間違いなく体調や状況が好転するだろうという患者さんも安心してまかせています。
たとえば、 多嚢胞性卵巣症候群という排卵障害は、不妊症状だけでなく、糖代謝異常など、もっと大きな疾患の一部の症状であるかもしれないと言われています。
これらの患者さんへの対応は婦人科のなかでもできますが、僕はやはり内科的な見方やフォローの仕方がとても重要だと考えているんですね。
問題を抱えたまま妊娠だけを目的に突き進むのはあまりよくありません。
女性側のコンディションも大切
人工授精にも、女性の体のコンディションが大きく影響しますか?
内田先生 はい。人工授精は精子の量が少ないなど、男性因子がある場合に行うことが多い。だから、不妊の原因が単純に精子が子宮に入っていないだけならば、精子を送り届けてやればそこで問題はクリアできるわけです。
だけど、実際に精子が子宮や卵管の中で条件よく動くためには、女性側の環境がよりよく整っている必要がある。そうすると、自然排卵よりも排卵誘発剤を使ったときのほうが、条件がよくなる場合が多いのです。