【医師監修】渋井 幸裕 先生 東邦大学医学部卒業。医学博士。東邦大学大森病院で体外受 精グループにて研究、 診察に従事する。2003 年、キネマアートクリニック開院。現在、東邦大学大森病院客員講師。日本生 殖医療心理カウンセリング学会幹事長、日本女性心身医学会幹 事。O 型・おひつじ座。
まるこさん(兼業主婦・33歳)からの投稿 Q. 原因が不明の機能性不妊で、 3 年前から治療しています。 今春、体外受精・胚盤胞移植を行いましたが、 残念な結果に終わり、今は治療を休んでいます。 休んでいる間でも、 何かしら努力したいと思っているので、 水泳や鍼灸など、 「○○をするといい」というものが あれば教えてください。
運動と妊娠率の関係
まるこさんは、血行促進を目的にウォーキング、ヨガもしています。
渋井先生 不妊ということを受けとめ、とても前向きに治療に向かってらっしゃることがうかがわれます。もし立場が逆であれば、僕も同じような気持ちを当然持つと思いますが、残念ながら西洋医学的には直接妊娠に役立つ運動など、効果が立証されているものはありません。
「冷え」という言葉はあいまいで、血行をよくすれば必ずしも妊娠しやすくなるとも言えませんが、健康を維持する、促進するという面でスポーツやエクササイズをするのは、とてもよいことだと思います。母体が健康であるのにこしたことはありません。肥満や痩せすぎも健康的ではないので、治療を休んでいる間も適正体重の維持を心がけてはいかがでしょうか。
楽しい時間かどうか?
渋井先生は、このような方にはどうアドバイスされますか。
渋井先生 「普段どおりに健康的に生活しましょう」と言っています。まるこさんのように、まじめに頑張り過ぎてしまう方が心配です。
毎日 30 〜40 分ウォーキング、週1回ヨガをなさっていますが、それはまるこさんにとって、ストレス解消につながる「楽しい」時間なのでしょうか。
それとも、義務感でしぶしぶされているのでしょうか。もし後者で、「不妊克服のために仕方なくしている」というのなら、やめたほうがいい。それは少なからずストレスのもととなり、かえって体に悪影響を及ぼす可能性があります。
精神面の健康も考えよう
精神面での健康も重要ですね。
渋井先生 治療では、肉体的にも精神的にもつらい思いをされたことでしょう。今は、せっかく治療をお休みしている期間なのですから、頭の中からも「不妊」という言葉を追い出してみませんか。今のまるこさんは、休んでいるとは言えません。
いつか、再度不妊治療に挑戦する日のためにも、今は自分が心身ともに気持ちよく過ごすことを考えましょう。リフレッシュして治療を再開したまるこさんに素敵な出会いが待っていることを望んでいますし、僕らもそのために頑張ります。