子宮内膜症の影響で卵管采に異常あり手術を受けたほうがいい?

塩谷 雅英 先生 島根医科大学卒業。卒業と同時に京都大学産婦 人科に入局。体外受精チームに所属し、不妊症 治療の臨床に取り組みながら研究を継続する。 1994~2000年、神戸市立中央市民病院に勤 務し、顕微授精による赤ちゃん誕生に貢献。 2000年3月、不妊専門クリニック、英ウィメン ズクリニックを開院する。A型・しし座の先生の ストレス解消法は、テニスとジョギング。クリニッ ク~神戸大橋~ポートアイランドの往復が、最近 のお気に入りのジョギングコースだとか。
インコさん 29 歳 Q.  ※ 子宮内膜症による癒着があり、 卵管采の動きを悪くしているため、 すぐに腹腔鏡手術を受けるように言われました。 早く手術を受けたほうがいい? それとも体外受精を考えたほうがよいのでしょうか。 日に日に不安が募っていきます。
※子宮内膜症:子宮内膜に類似した組織が骨盤内の臓器、たとえば卵巣や卵管、ダグラス窩などで増殖し、炎症を起こしたり出血したりするもの。

卵管の閉塞は軽く考えない

卵管采の動きが悪いということですが、やはりすぐに手術するべきでしょうか?
塩谷先生 卵管采は、卵管の先のほうきのようになった部分。卵管造影剤だけで癒着はなかなか見つけにくいんです。それが見つかったということは、軽く考えられない状況だということ。卵管が閉塞する原因はいろいろあると思いますが、子宮内膜症もその一つ。子宮内膜症の場合、一番大切なこの卵管采が侵されてしまうことが多いのです。
そこで意見が分かれるんですよ。不妊治療の前に、腹腔鏡手術で病巣をきれいに取り除くのか、やはりホルモン治療か、あるいは体外受精へ行くのか。大きく分けてこの3つの考えがあると思います。何人かの医師に聞いてみても、おそらく1:1:1ぐらいの割合で意見が分かれるでしょうね。

卵巣にできる子宮内膜症は慎重に

そんなに分かれるものですか?
塩谷先生 はい。その医師の考え、経験、技量によると思います。インコさんは年齢がまだ若いことと、治療期間が短いことから、当院ではホルモン治療か体外受精で様子をみるでしょうね。
特に、卵巣にできる子宮内膜症は慎重になるべきです。手術後にうまく妊娠できることも多いですが、卵巣の健康な部分まで失くしてしまうケースも少なくない。再発を防ぐためにも、病巣をできるだけきれいに取り除くべきだというドクターもいらっしゃると思います。
しかし、子宮内膜症は正常な部分と異常な部分の境界があいまいなので、きれいに取ろうと思えば思うほど、正常な部分も一部取らねばなりません。

医師との信頼関係

その選択は、最終的に患者さん自身が行うしかないんですね。
塩谷先生 たとえば、不妊治療は登山のようなもの。頂上は一つだけど、山に登るときのルートはいっぱいあります。頂上=赤ちゃんができるということですが、医師は頂上まで案内するガイド役。崖を避けて遠回りするのか、崖があるけど近道を選ぶのか、どのルートを選ぶかは山に登る人が決める。
そういう意味でも、不妊治療は医師との信頼関係がとても大切なのです。
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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。