不妊治療は、年齢との戦いでもあります。

不妊治療は、年齢との戦いでもあります。 あせったり、先が見えなくてモヤモヤしたり。 そんな心理について、 心のケアを大切に考える三室先生に お話を伺ってきました。

三室卓久先生 聖マリアンナ医科大学卒業。東京女 子医科大学産婦人科にて臨床研修、 医学博士号取得後、オーストラリア のシドニー大学教育病院・ウエスト ミードホスピタル不妊センター留学。 聖マリアンナ医科大学産婦人科講師 を経て、みむろウィメンズクリニック を開業。日本生殖医学会生殖医療 専門医。「不妊治療はオーダーメイド」 と考え、一人ひとりの患者さんの悩 みに合わせて真摯に向き合う。納得 できる治療にHPには感謝のメール がいっぱい! O型・おうし座。

ドクターアドバイス

不妊症の人はみんな、周りから 取り残されたような孤独感を抱いてます。
杏さん(兼業主婦・32歳)からの投稿  Q.32歳です。 同年齢で不妊治療中のみなさん、 この年齢って正直微妙……だと思いませんか? 30代後半や40代の同じ状況の人からは 「まだ若いからいいじゃない」と言われるけど、 決して若くないことは 自分でもよくわかっている。 20代の友人たちからは、 口では言わないけど、心配されている。 周りの友だちも子どもがいる人のほうが、 いない人の数を超す。 あと何年通院を頑張ればいいという タイムリミットが遅い分、 中途半端な年齢に感じてしまう。 それでも頑張ればいつか妊娠できるはずと 思ってはいるけれど、たまにモヤモヤ 考えてしまうときがあります。

「そうだね、大変だよね」 って言ってあげたいな

投稿者の杏さんは、年齢について悩んでいるように見えるけど、実は悩みの核心は 32 歳という年齢のことじゃなくて、環境のことなんだと思う。「周りの友だちも子どもがいる人のほうがいない人の数を超す」 ――。

僕が気になるのはここなんだよね。

例えば、大学受験のとき、周りが 有名大学に入るような友だちばかりで、それに比べて自分は下の大学にしか入れないレベルだったらどう思いますか?「自分はダメだな」って、劣等感でいっぱいになってしまうよね。でも、もし他の高校だったら、この子は優秀かもしれない。きっと置かれている環境が彼女を悩ませているんだと思う。  

悩むのは当たり前。僕だったらまず「そうだね。大変だよね」と言ってあげたいな。不妊症の人はみんな杏さんのように、周りから取り残されているような孤独感を抱いています。一番身近にいるご主人だって、わかってくれないと感じているんじゃないかな。  

女性には「子ど もを作りたい」という強い〝本能〞がある。でも、男性には「父親になりたい」という〝感覚〞しかないんだよね。まったく違う動物だからわかり合うことは難しい。

お互い、違いを認めることしかできないんです。ご主人とは、ずっと一緒にいたいから結婚したんでしょう。子どもを作るためだけに結婚したんじゃない。でも女性の強い〝本能〞から、杏さんのように周りの環境でその本来の気持ちを忘れ、本能だけが突っ走って「早く、早く」となったり、妊娠のことばかりを考えてモヤモヤしてしまうんです

だから、僕は彼女の悩みをまず受け止めて、考える余裕を作ってあげたいと思う。それから「どうする?もし治療のスピードを上げたかったらやってみようか?」と、不妊治療のスピードアップや検査など、医師としてできる提案をしていきます。そうしてあげれば、不安は取り除かれるんじゃないかな。

不妊と年齢についての正しい 知識を持つことが必要

杏さんの場合は考える余裕を与えてあげれば解決する問題だけど、同じ年齢のことでも、僕たち医師にとって困ってしまうケースがあります。バリバリ仕事をする女性が増えて結婚年齢が上がってきましたが、年齢と不妊について正しい知識を持っている人が意外に少ないんですね。

たとえば、 42 歳で結婚した人が「私はまだ結婚して1年だから、自然妊娠を希望します」と。自然妊娠を目指すのは悪いことだとは思いません。正しい知識があってそう思うのなら、それで子どもに恵まれなかったら夫と2人の人生を歩んでいくという同意がご夫婦の間にあるのなら、それは素晴らしいことだと思う。

でも知識がなく、イメージだけで考えている人も多いんですね。それで何年後かに後悔をして、ずっとそのことを引きずってしまう。

こういう方には同調するのではなく、「自然妊娠では妊娠率が低いので、体外受精も視野に入れてください」と、年齢と不妊の関係について医学的にきちんとお話をします。  だから患者さんも、現実をしっか り見つめて正しい知識を学び、大人の判断をしていただきたいですね。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。