体外受精中でも性交渉はあったほうがいい?【医師監修】

監修 福田ウィメンズクリニック 福田 勝先生 順天堂大学医学部・同大学院卒 業。米国カリフォルニア大学産婦 人科学教室留学後、順天堂大学 医学部産婦人科学教室講師を経 て、1993年福田ウイメンズクリ ニック開院。O型・みずがめ座。 プライベートクリニックとして院長 =主治医体制を守り、採卵も移 植も福田先生自身が担当。「医者 の前に人間である」という信念の もと、丁寧な対応で患者さんから の信頼も厚い。
かにさん 専門職・36歳 タイミングから始めて不妊治療歴3年になります。 人工授精を始めたころから極端に性交渉が減り、 体外受精を始めた現在は、まったく性交渉が なくなりました。体外受精をしていても、 ホルモン値を安定させたり、妊娠するためには 性交渉があったほうがいいのでしょうか?

体外受精への性交渉の影響

なかなか難しい質問だと思うのですが、まずお聞きしたいのは体外受精中の性交渉は、ホルモンの分泌や排卵などに影響することはあるのでしょうか? 例えば妊娠に向けての反応がよくなるなど……。
福田先生 体外受精の治療をしているときは薬を使って体をコントロールしていますから、セックスによってそれが乱されてしまうということはないですね。
また、体外受精中に性交渉をすると女性ホルモンの分泌が活発になって妊娠しやすくなる、というイメージを持たれている方もいるかもしれませんが、それは感情的なものが大きく、医学的には妊娠に対して反応していく体になる、ということはないと思います。
では、むしろ控えたほうがいいということはありますか?

卵巣への刺激?

福田先生 僕は採卵4〜5日前からと採卵直後の性交渉は避けたほうがいいと思っています。それはホルモン分泌や卵に悪影響を及ぼすのではなく、卵巣への刺激を避けるためです。
の時期の卵巣は卵巣を刺激するホルモン剤の注射などで大きくなっているし、採卵後も腫 はれることがあります。
デリケートな状態になっている卵巣に余分な刺激を与えないようにと、患者さんには性交渉は控えていただくようにお伝えしています。
その時期は激しい運動なども避けるように言われますが、それと同じような意味で、ということですか。
福田先生 そうですね。受精卵の運命そのものを左右してしまうということではなく、なるべく体をいたわってほしいということです。

不妊治療中の性交渉

採卵前と採卵後以外であれば、性交渉を続けてもいいのですね。
福田先生 もちろん、大きな問題がなければ構いません。でも、かにさんのように不妊治療を始めるとセックスレスになってしまうご夫婦が多いんですね。
二人で深刻に話し合っても難しい問題だと思いますから、それは割り切るしかないと僕は思っています。
ご夫婦の性生活と妊娠は別のものだと割り切って、治療中はそれに専念する。早く目的が達成できれば、またご夫婦二人の原点の気持ちに戻れるのではないでしょうか。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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