夫の理解、 どうすれば得られる?

二人の赤ちゃんが欲しくて治療を頑張っているのに、 ご主人に理解してもらえないと、 とても悲しいですよね。 ユーザーの間でも頻繁に語り合われるこの問題を 福岡の蔵本ウイメンズクリニックの 蔵本武志先生と一緒に考えてみました。

蔵本武志先生 O 型、おうし座。映画好き、特に洋画。日曜日には自宅近くの映画館 にぶらりと行くことも。現在唯一の運動は、クリニックでエレベーター に乗らず、階段で移動すること。

ドクターアドバイス

必ず夫婦二人が 治療を受ける そういう意味で特別です
二人で解決できないときは クリニックへ適切な情報を 仕入れに来てほしい
ももさん(会社員・39歳)からの投稿 タイミングとAIHでは結果が出ず、先生と相談して体外受精に挑戦しようと思ってい ますが、主人に相談したところ、どうも抵抗があるようで決断してくれません。 みなさんのご主人はどうですか?

ご主人の理解が必要?

取材部  今日、一緒に考えていた だきたい問題は、ももさんのよう に「主人に理解されない」という投稿なんですが、こちらのクリ ニックでもこういった悩みの相談を受けることはありますか?

蔵本先生(以下: 先生)  そうい う悩みはやっぱり多いですよ。


取材部   治療を始めるとき、検査 を受けるとき、ももさんのように ステップアップするとき、同じ治療を続けるときなど、いろいろな タイミングで同じような悩みを抱 えているユーザーの声を聞 きます。


先生   そうですね。不妊の治療を するのに、二人の意識のズレというのは大きな問題だと思います。


取材部   投稿を見る限り、奥さん が治療に前向き、積極的であるの に対して、ご主人の方がためらいがちなことが多いのかなと思うの ですが。


先生   そうだと思いますよ。そし て、ご主人の協力が得られないと いうのは、治療に対して判断するための情報が少なくて躊 ちゅうちょ 躇されているから、ということもあるんで しょうね。


取材部   夫婦間の意識のズレは、 そういったご主人の情報不足で あったり、お互いが持つ情報の内容が異なったりすることが、影響 しているのかもしれないですね。


先生   ここで大切なのは、不妊の治療は夫婦二人が受けるものなん だということなんですよ。例えば がんなどの病気は、本人一人が治 療を受けて、その家族は精神的な サポートをします。でも、不妊治 療は、カップルがそろって受けな くちゃ始まらないし、前に進めな い。そういう意味でとても特別な んです。


取材部   「二人で受けるもの」と いう理解から始まるのですね。

誰にとっても初めての経験

 

先生   そう。それに、夫婦の理解や意識にズレがあるのは、当然 じゃないかと思うんですよ。だって、二人で受ける治療というのは ほかにはなくて、そんな体験、み なさん初めてでしょう?


取材部   ほかの治療では感じないようなことにも、二人で向き合っ ていくということですね。


先生   だから、僕がそういう夫に伝えたいのは、まずクリニックへ きちんとした情報を仕入れに来て ほしいということです。妻の診療 に1回だけでも付いてくるとか、 説明会に参加するとか。まず、耳 に入れることが、大切なんです。


取材部   投稿には、「専門家に言ってもらったら?」というアドバイスがありました。


先生   その通りなんですよ。治療の内容は、カップルごとに違うの で、医師から聞くのが一番です。


取材部   夫婦で適切な情報を得ることが重要なのはわかりました。 でも聞いたら、本当に変わるので しょうか?

知ることから始めよう


先生   気づくことはあると思いますよ。不妊のこと、治療のことを 「知る」のが、第一段階。妻が言っ ていた治療がどういうもので、何 のためのものかがわかれば、夫も 相手のことを思えるでしょう。実 際に、以前よりも奥さんのケアを 心がけてくれるようになったとい うことを聞いたりします。そこで 初めて、夫婦でスタートラインに 立てるのです。


取材部   治療を受けるのも二人なら、その心や体を支え合うのも二 人、そういう関係に近づいていけ そうですね。


先生   僕たちができるのは、カップルがどの治療が自分たちに合っているのか、決めるための情報を用意してあげることだけです。説明を聞くだけじゃなく、できる限り理解してもらえるように。その上で、どんな治療もするかしない かは、二人の自由なんです。


取材部   二人が受ける治療を、二 人で決めていくということですね。


先生   それは治療がどの段階であっても、またどんなに細かな内容であっても、変わりません。

チーム医療って?


取材部   そうすると、一つひとつの治療の説明に、時間がかかるのではないのでしょうか?

先生   くどいほど説明するのでね (笑)。でも、できる限り後悔のない治療にしてほしいから、時間もかけますし、そのためにチーム医療という体制を整えています。


取材部   チーム医療というのは?


先生   例えば、体外受精の説明は、まず医師がした後、体外受精コーディネーターからも行います。そ れでも不安そうな顔が少しでも見 えたら、さらに看護師がフォロー します。そうやって、みなさんの 反応や不安を見過ごしてしまうこ とのないように努力しています。


取材部   先生がそこまで説明にこ だわるのは、どうしてですか?


先生   インフォームド・コンセン トとひと言でいえば簡単ですが、 それは僕たちスタッフがかなり意 識し合わないとできないことだと 思っています。だから、医師、看 護師、体外受精コーディネーター、 培養士、心理カウンセラーなどの 専門のスタッフが連携して、みな さん一人ひとりを支えられるよう に取り組んでいます。そうして僕 たちが行っていること一つひとつ が、みなさんがする治療の選択を 後悔のないのものにしていけると 信じています。

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不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。