なつさん(42歳)
採卵しても変性卵ばかりのため、チョコレート嚢胞の治療を先にすることを薦められました。
薬で治療、期間は4ヶ月程度とのことですが、治療が遅れると思うと判断ができません。
チョコレート嚢胞の治療を今から行えば、右側の卵巣でも採卵ができるようになりますか?
治療期間がさらに長くなる確率は高いでしょうか?その場合、どの程度長くなることが多いでしょうか?
チョコレート嚢胞は右卵巣で、7月も8月も左卵巣でのみ採卵してもおり、採れた卵も変性卵です。
また、毎回診察する医師が変わることが原因なのか、「左チョコレート嚢胞あり」と書かれていたこともあり、左右どちらにもあるのかも分かりません(医師に聞くと、筋腫で見えにくいから両方の可能性がある、とのことでした)。
高齢でもあるため、費用がかかっても早く不妊治療を終えたいと思っています。
このような場合、推奨される検査や治療法をご教示いただけますと幸いです。
さっぽろARTクリニックn24の藤本 尚先生に伺いました。

日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医、臨床細胞学会細胞診専門医。札幌医科大学産婦人科、神谷レディースクリニック 副院長を経て、医療法人社団 さっぽろARTクリニック開院し理事長に就任。2019年5月 医療法人社団 さっぽろARTクリニックn24開院。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
初めに一つ書いておきたいと思います。不妊治療の方針は算数とは異なります。『1+1=?』は誰に聞いても答えは『2』ですが、治療方針はなかなかそうはいきません。なつさんの状況は本当に、年齢、AMH、内膜症があるという状況もあり、100人の先生に聞いた場合に意見がいくつにも割れる状況であると思います。そのことを踏まえた上で、僕の意見も書かせてもらいます。
私個人としては一番考えるのは年齢のことで、42歳でARTを開始したものの胚移植までたどり着けていない状況であること、ARTを保険診療で行うことが出来るのは43歳の誕生日までであることから、あくまで私なら、チョコレート嚢胞の治療は保留にしてもう少し採卵を続けてみたいと考えます。
物事がなかなかうまくいかないときはどうするのか?ある方法でだめなら、別な方法を行ったり、、色々とアプローチを変えながら挑戦していくことになります。誘発方法の記載はないですが、薬剤の量もそうですが、誘発方法を変えてみるのも選択肢に入れてみてよいと思います。また、確かに思っているより卵巣機能が低いようですが、複数発育はまだ見込めているので、できれば自然周期ではなく、排卵誘発を行い複数個の卵胞発育を目指していくことで、移植胚として胚が残る確率も上がるといえます。
チョコレート嚢胞の治療後に右卵巣で採卵が可能になるかは、個人差があるため確実に言い切ることはできません。ただし、チョコレート嚢胞の治療を行うことで、卵巣の機能が改善し採卵がしやすくなる可能性があります。ただ今までの3倍の数の卵胞が育つわけではありません。一方で今の年齢を考えると4か月で卵子の質は確実に低下するので、そこを踏まえて私的には内膜症治療に4か月使うのではなく、採卵を優先したいと考えます。
筋腫の影響でチョコレート嚢胞が確認しづらい場合もあります。特に超音波検査で見えにくいことがありますが、見えにくいからと言って筋腫の手術を行うと、これも治療を数か月遅らせることになるので私的にはお勧めできないと考えます。
高齢で早く治療を終えたいとのことですが、皆さん少しでも早く治療を終えたいと考えています。不妊のクリニックに通っている人は誰も私はゆっくりでいいやとは思っていません。年齢は関係ないです。なつさんも今できることをちゃんとやっている(既に不妊クリニックに通院してARTを行っている)と開き直るというかも大事かなと思います。自分はすでにやるべきことをやっているんだ!という開き直りです。今の状況は結果が分かったうえで行っているわけではない治療なので、何が正解なのかは治療を行っているときにはわかりません。それで更に不安になってしまい真面目な人ほどネットで見たあれはどうだ?他になんかできることは無いか?となってしまいがちで、そんな人を何人も見てきました。なつさんの不安を解消し、最も効果的な治療法を選ぶためには、定期的に担当医とコミュニケーションを取ることが大切です。最も適した治療計画を立てるために、遠慮なく質問や相談をしてみてください。思っているだけでは、主治医の先生もなつさんが何を考えているのかわかりません。遠慮なくどんどん先生に聞いてみましょう。きっと先生は答えてくれると思います。
お返事になったかわかりませんが、これをお返事とさせていただきます。頑張ってくださいね。