【Q&A】免疫検査は必要?~中島先生【医師監修】

mocaさん(29歳)

色んな検査をしてきましたが、原因が分からず、3年治療をしています。

先月、病院からは「あまり意味が無い」と言われましたが私としては受けたくて免疫検査(th1/2比)をしました。その結果、12.5と分かり、薬(タクロリムス)を服用可能と言われました。ただ、先生からは「エビデンスがない」「効果は期待しないでください。飲みたいなら飲んでも大丈夫ですが」というようなニュアンスで、あまり勧めるようなものではないようでした。

病院では数年前に一時期、免疫検査、薬服用を勧めてたそうですが、結果が出てないとのことでした。ただ、私は12.5と結果が出てるので原因不明で治療をしてる私にとっては少しですが今後の治療に希望の光が見えてきたと思えました。YouTubeなどで検索するとth1/2比検査、薬服用は先生によって勧めるか勧めないか分かれると書いてあります。

約10個採卵中1.2個胚盤胞凍結を4回してます。グレードは4AA.5BC.5BC.5CB全てホルモン補充周期で移植後、陰性でした。現在5BB.5BCを凍結中です。来月ERA予定で、その後に移植予定です。

2月から不妊鍼灸サロンで体質改善も行ってます。「身体が冷えていて血が滞っている」と言われました。

実際のところ、タクロリムス服用して妊娠率は上がりますか?また、まだ先生へ相談は出来てませんが、2個戻しも検討中です。2個移植のリスクや妊娠率を教えていただきたいです。
どうしても今回の移植で妊娠したいので、妊娠率を上げたいと思っています。先進医療、自費治療も考えてます。よろしくお願いします。

福岡ARTクリニックの中島章先生に伺いました。

【医師監修】中島 章 先生 先生 (福岡ARTクリニック)
鹿児島大学医学部卒業。久留米大学病院産婦人科、国立成育医療センター周産期診療部不妊診療科(現・国立成育医療研究センター)などを経て、2025年9月、福岡ARTクリニック開業。サッカー観戦が趣味で、特にアビスパ福岡を応援しているそう。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

29歳という年齢を考えると、一般的には1回の胚移植あたり比較的高い妊娠率が期待される年代です。その中で複数回の移植でも結果が得られていない場合には、いくつかの要素を整理して考えることが重要です。
これまで移植された胚の中には良好胚も含まれていた可能性がありますが、一方で胚盤胞のグレード(5BC、5CBなど)から考えると、必ずしも十分な発育能を持つ胚ばかりではなかった可能性もあります。一般的に同一周期で得られた胚は発育の良好なものから順に移植されるため、残っている胚についても慎重な評価が必要です。

そのため、現時点では採卵から治療戦略を見直すことも一つの重要な選択肢と考えられます。

さらに見落とされがちですが、胚移植の結果には手技的な要素も影響します。胚移植は一見シンプルな手技に見えますが、実際にはカテーテル操作や子宮内での胚の配置、頸管の状態への対応など、施設や術者による差が生じうる分野でもあります。
そのため、複数回良好胚を移植しても結果が得られていない場合には、胚や子宮環境だけでなく、移植手技や施設全体の治療プロセスも含めて見直すことが重要です。
実際に、施設を変更したことで結果につながるケースも一定数経験されますので、一つの選択肢として転院を検討することは決して特別なことではありません。

1. タクロリムスの服用で妊娠率が上がる可能性はありますか?

免疫バランス(Th1/Th2比)と着床の関係については理論的には関連が示唆されていますが、現時点では明確なエビデンスは十分とは言えません。タクロリムスは一部で有効例が報告されているものの、標準治療として確立されているわけではなく、また保険診療との併用には制約があります。臨床的には、まず黄体補充やホルモン環境の最適化を行うことが優先されるべきであり、その上で補助的に検討される治療と位置づけられます。

2. 2個移植を検討していますが、そのリスクと妊娠率を教えてください。

2個移植は妊娠成立の可能性を高める場合がありますが、双胎妊娠のリスクが明確に上昇します。一般的には29歳の方の胚移植では50%の妊娠率が期待できます。よって、2個移植した場合の双胎妊娠率は概ね20〜30%となります。双胎妊娠は早産や低出生体重児、母体合併症のリスクが高くなるため、慎重な判断が必要です。
一方で、移植回数が限られている場合や反復不成功の状況では、状況に応じて現実的な選択肢となることもあります。
次が5回目の胚移植となりますが、もし施設を変えて採卵をやり直した場合、その胚のグレードを考慮し、その施設の臨床成績をベースに移植個数を検討されるべきだと思います。

3. ERA検査後の移植における成功率について教えてください。

ERA検査は着床のタイミング(着床の窓)のずれを評価する検査ですが、近年ではすべての症例で妊娠率を改善する明確な根拠は乏しいとされています。実臨床でも、ERAによって明確に原因が特定できたと判断できるケースは限られており、適応を慎重に見極める必要がある検査です。

4. 体質改善のための不妊鍼灸が妊娠に与える影響について、先生の見解をお聞かせください。

不妊鍼灸が直接的に妊娠率を向上させるという強いエビデンスはありませんが、
・リラックス効果
・自律神経の安定
・血流改善
といった点で、治療を支える補助的な役割は期待できます。

また、生活習慣の見直しも重要です。例えば、
・湯船に浸かる習慣
・適度な運動(ウォーキングなど)
・タンパク質や食物繊維を意識した食事
といった取り組みは、体の代謝を整え、子宮環境の改善につながる可能性があります。

さらに、月経周期がやや長めであることやAMHが高めである点から、血糖値やインスリンの影響を受ける体質が背景にある可能性も考えられます。急激な血糖上昇を招く食生活になっていないかを振り返ることも一つの視点です。

5. 先進医療や自費治療で妊娠率を上げる方法についてアドバイスをお願いします。

先進医療や自費治療にはさまざまな選択肢がありますが、重要なのは**「新しい治療を追加すること」よりも「基本の精度を高めること」**です。

特に優先すべきは
・良好な胚を得ること(採卵戦略の見直し)
・子宮内環境の評価
・移植タイミングの最適化
です。

まとめ

今回のケースでは、
・採卵からの治療戦略の見直し
・移植手技や施設を含めた治療全体の再評価
・必要に応じた転院の検討
・移植方法(特に自然周期・排卵周期)の最適化
・生活習慣の調整
といった、基本の精度を一つずつ高めていくことが最も重要と考えられます。
2個移植についてはリスクを伴う選択ではありますが、状況によっては検討されることもあります。
一つひとつの要素を丁寧に見直し、最適な治療戦略を組み立てていくことが、妊娠への近道になると考えます。

 

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