
▶︎オビドレル®注射のタイミングと妊娠率の関係は?
多囊胞性卵巣症候群で、薬の服用で卵胞も大きくなり、排卵もしているのですが、原因不明の不妊となっています。卵胞径は19 ~ 22mm になっていますが尿検査で排卵のサインが出ず、オビドレル®注射後、タイミング法もしくは人工授精を行ってきました。排卵予定日2 日前~排卵予定日に受診していますが、排卵予定日に卵胞チェックとオビドレル®注射をした周期だけ化学妊娠をしました。排卵日当日にオビドレル®注射をしたほうが、卵子の質がいいのでしょうか?

名古屋市立大学医学部卒業。名古屋市立大学産科婦人科学教室助教授、名古屋市立大学看護学部教授などの経歴を重ねたが、不妊に悩む名古屋の方たちの役に立ちたいという思いで、教育者の立場を辞して独立。地元・名古屋の中心部、栄に開院し、1986年から体外受精の現場を歩いてきた経験と穏やかな人柄で、数多くの患者さんを妊娠に導く。
多囊胞性卵巣症候群(PCOS)で、原因不明の不妊とのこと。先生が気になる点はありますか?
生田先生●まず、manamiさんはPCOSではないと思います。というのは、manamiさんのデータには月経周期28日、月経期間5日間とあり、PCOSの主な症状である月経異常が見受けられないからです。超音波検査では卵胞がいくつか確認できるかもしれませんが、それは年齢的に若いため、卵子が多く存在しているということではないかと思います。
それよりも気になるのは、服用している排卵誘発剤が何か、という点です。通常、自然な排卵時の卵胞径は20mm程度ですが、たとえばフェマーラRを使用すると22〜23mm、クロミッドRであれば24〜25mmほどにならないとLH の放出が起こらず排卵しません。それを20mm前後で排卵させたいとなると、オビドレルR注射やHCG注射を使うことになりますが、注射を打つ時期は、薬の種類と卵胞の大きさ、さらにタイミング法であれば、精子が卵管へスムーズに届くよう頸管粘液の状態なども見極めて判断することが重要になります。
排卵予定日にオビドレルR注射をした周期だけ、化学妊娠をしています。卵子の質に関係するのでしょうか?
生田先生●オビドレルR注射を打って1日ほど経つと排卵が始まりますので、排卵予定日の当日ではなく、前日に打つのが適切です。卵子については、残念ながら、たまたまその時は染色体や遺伝子の異常など、さまざまな原因によって化学妊娠で終わってしまったのだと思います。オビドレルR注射自体が卵子の質に影響するというデータは見受けられません。
今後、どのような治療が考えられますか?
生田先生●人工授精も試みているとのことですので、精子の質や数値は良いのだと思います。さらに、PCOSではないという所見を踏まえると、HMGのような、やや強めの排卵誘発剤を併用し、通常1個しか排卵しない卵子の数を2個、もしくは3個に調整することで、受精の確率を高める方法が考えられます。ただし、これは4、5周期が限界で、それ以上になると妊娠率は極めて低くなります。それを経ても妊娠に至らない場合は、卵管采が卵子を適切に拾えない「ピックアップ障害」の可能性もあります。そのための治療や、体外受精を視野に入れる検討も必要かもしれません。