【体験談】20 代でもAMH値と採卵数が急減し、 授かりづらい現実に直面しています。

 

子どもを最優先に考えて早々に治療を開始
20代でもAMH値と採卵数が急減し、授かりづらい現実に直面しています。

七味唐辛子さん、27歳。子どもを最優先に結婚後すぐ治療を始めるも、現実の厳しさは想像を超えて体外受精の回数を重ねる日々。数字に一喜一憂しつつも夫との何気ない日常に支えられて静かに前を向く姿が、同じ悩みを抱える人の心にもそっと寄り添います。

価値観と方向性の一致が結婚の大きな決め手に

七味唐辛子さんが結婚したのは2024年10月、26歳の時でした。出会ってすぐに恋に落ちたというよりも「一緒にいて安心できる人」と感じさせてくれた夫のTさん(36歳)。交際に発展するきっかけにな
たのは、意外にもささやかなできごとでした。2回目に会った日、途中で雨が降ったため、傘を差し出すと「ありがとう」と自然なそぶりで応えたTさん。小さなことでも言葉にして感謝できる人だと感じ、その姿勢に心を動かされたそうです。
ただ、結婚に際して七味唐辛子さんにははっきりとした条件がありました。「あなたより子どもが最優先です」。昔から子どもが欲しい気持ちは強かったものの過去の恋愛経験の積み重ねから「シングルマザーでもかまわない」と本気で思うようになり、「夫はいなくてもいいから、子どもだけは欲しい」という考えになっていました。そのことを正直に伝えた彼女の思いを理解し、Tさんは「それでもいいよ」と受け入れてくれました。恋愛感情よりも価値観や人生の方向性が一致していたことが、結婚の大きな決め手となりました。

自分が受ける治療だから、詳細な説明を求めた

すぐにでも子どもが欲しかったから、結婚前に「ブライダルチェックを受けたい」と伝えると、Tさんは迷わず一緒に検査を受け、結婚後すぐに不妊治療を開始。年齢も若く、AMH値も4ng/ ml 以上と高めだったことから、医師の提案でまずは人工授精からスタートしました。しかし、結果は3回続けてすべて陰性でした。「そもそも人工授精をしている時間がもったいないと思っていたから、すぐに体外受精へのステップアップを希望しました」
もともと新しいことに挑戦することにまったく抵抗がない性格。未知の治療にもためらいや恐怖は一切なく、妊娠するという目的がはっきりしているからこそ、自己注射や採卵にも淡々と取り組むことができたようです。
初回の採卵では卵が8個採れましたが、凍結できたのはBB評価の胚盤胞1個のみ。その際、医師から十分な説明がないまま移植に進んだことに対して強い違和感を覚えました。「BBが1個です。じゃあ移植しますね、という感じで……」。納得できず、後日の診察時に「自分が受ける治療のことはちゃんと知っておきたいんです。受精した数や経過をちゃんと説明してください」と、はっきりと考えを伝えたところ、以降の治療内容や薬、選択肢としての先進医療についても細かく説明されるようになったそうです。
一方、採卵を重ねても結果は思わしくありませんでした。BB以下は凍結しない方針のクリニックでしたが、そもそもCCにさえならず、採卵数は減り、3回目の時にはAMH値が1程度まで下がったと告げられます。治療開始から1年での急激な減り方に驚いた七味唐辛子さんは、院長から「年齢を考えると、卵の数が急激に減ったとは考えづらいので、体質的な反応の仕方だと思われます」と説明されましたが、現実は静かに重くのしかかります。20代で体外受精に進めばすぐにできるはずだと期待をもって挑んだのに、採卵4回目では卵が15個採れても凍結きたのはゼロ。気持ちと結果のギャップが心を揺さぶりました。

準備万端な20代でも結果が出ない現実がある

「母は23歳で私を産んでくれました。だから、25歳を過ぎると妊娠が難しくなるんじゃないかと自然に思うようになっていて……」
幼い頃から子どもをもちたい気持ちが強かった七味唐辛子さん。いつしか母親の出産年齢が自分にとっての「ゴールの目安」になっていたのかもしれません。
「不妊治療に悩んでいる人は多いですが、どうしても30代、40代の人の話が主だという印象があります。でも、妊娠の可能性を若い時から意識して積極的に治療に取り組んでも、授からない人は授からないということを知ってほしいです。そして、20代でもAMH値が低いのはどういう状態なのか、卵の質が良くないと言われるのはなぜか、その理由にたどり着けるような情報がもっと欲しいと思います」

ささいな日常を大切に、心身のバランスを保つ

結果が出ない治療が続くなか、つらさやもどかしさを二人で共有することは多く、通院がしんどいと感じる日は仕事を休んで付き添ってくれることも。休みの日は外食したり近所を散歩するなど、特別なことはしなくても、一緒に過ごす時間や会話そのものが心の支えになっているようです。
また、自身の性格を「卑屈でマイナス思考」と分析する七味唐辛子さんですが、落ち込んでも「人生そんなもんや、って思うようにしています」と切り替えは早く、全力を注ぎすぎると感情に振り回されて心が壊れてしまうと感じているから「成功しなくてもまあいいか」と受け止める治療との距離感を意識しています。周囲に妊娠や出産の話題が少なく、親族から「子どもはまだ?」と聞かれることがない環境も、今はありがたいと感じています。

迷っている暇はない。主体的に前に進むだけ

「聞きたいことはちゃんと聞く」「説明や方針が納得できなければ転院する」と、自分の軸をしっかりともつ七味唐辛子さん。「迷っている暇があるなら、やったほうがいい」と同年代で治療中の人に向けた言葉は、シンプルながら実体験を伴ったものでした。
年明けはTさんの実家で飼っている猫に癒されながら少し休憩。心と体を整えてから、また自分のペースで前に進むつもりです。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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