【Q&A】生活習慣は卵子に影響する?~稲垣先生【医師監修】

みーさん(37歳)

第一子は卵管閉塞のためFT手術を受け、その後自然妊娠・出産しました。

第2子を希望して体外受精に取り組んでおり、これまで3回、いずれも自然周期で凍結胚移植を行いました。
すべて着床はしましたが、1回目と3回目は化学流産、2回目は7週で稽留流産となりました。
hCG値はBT9で、1回目90、2回目176、3回目40でした。

1回目の後に子宮フローラ検査と子宮鏡検査を行い、フローラの乱れが見つかったため服薬とプロバイオティクスⅢを開始。
2回目の後には免疫系の検査を実施しましたが異常はなく、ビタミンDの内服を続けています。
卵管造影にも異常はありません。
また、第一子妊娠時からチラージン50μgを継続服用しています。
体質改善のため、当帰芍薬散も服用中です。

気になるのは、20代の頃から深夜の暴食(ファーストフードやカップラーメンを食べてすぐ寝る)を時々してしまうなど、食生活の健全さに自信がない点です。
こうした生活習慣が卵子の質やホルモンバランスに影響している可能性はあるでしょうか。
検査で大きな異常が見つからない中で、毎回着床しても流産となる場合、体質や生活習慣の改善で変化が見込めるのでしょうか。

今後の取り組み方として、自然周期での移植を続けるか、私のように着床しかけるものの卵が成長しないケースの背景として考えられること、この状況への有効な手立てが考えられるものなのかお教えください。

稲垣先生にお話をおうかがいしました。

【医師監修】いながきレディースクリニック 稲垣 誠 先生 
1994 年、浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院、鹿児島市立病院、聖隷沼津病院などで産婦人科医の経験を重ね、2012 年、不妊治療専門施設「いながきレディースクリニック」を開院。「お一人ひとりに寄り添いながら、それぞれの患者さまに合った最適な治療を心がけています」

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

●深夜の暴食が卵子の質やホルモンに影響している可能性はありますか?

詳細な情報をすべて手元にはいただいてはいませんが、やや高めのBMI、AMH等より多嚢胞性卵巣症候群(PCO’s)かそれに近い排卵障害があることが推察されます。いわゆる体質的な部分もあるかもしれませんが、食習慣の乱れによる体重増加などが悪影響を及ぼしている可能性も否定できません。

●着床はするが卵が成長しない背景として考えられることは何でしょうか?

私どものクリニックでも時々経験することですが、排卵障害のある方の最初の採卵では卵の質が良くないことが時折見受けられます。相談者さまの場合もいずれの胚移植も最初の採卵で回収した卵からの受精卵なので、もしかしたら、そういうことも関係しているかもしれません。2回目以降の採卵の場合は、初回採卵からの時間経過がそれほど長くない場合は卵の質が改善することが期待できるかもしれません。あくまでも経験的なものでエビデンスがあるわけではありませんが

●着床するが流産する場合、生活習慣の改善で変化は見込めますか?

上の質問に対する回答にもありますが、食習慣の改善により排卵障害が改善する、すなわちホルモン環境が改善するということでもありますから胚移植にも良い影響が期待できるのではないでしょうか。

●この状況への有効な手立てについて、先生でしたらどのような提案をされますか?

これまで回答してきたように食習慣を中心とした生活習慣の見直しとそれによるBMIの低下を目指したいと思います。そのほかにホルモン補充周期での胚移植やERA検査(先進医療)も検討してみてもいいかもしれません。また、次回の採卵が計画されるのであれば、その時はまた違った受精卵の獲得が期待できるのではないでしょうか。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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