
▶︎人工授精のタイミングと「カバサール®」の不安
人工授精を1回試しましたが妊娠に至らず、2回目を予定しています。通っている病院が土日お休みなのですが、排卵日が日曜日にあたった場合、日程はどのように調整すればいいでしょうか。また、「数値が35」ということで「カバサール®」という薬を処方されました。この数値が何を意味するのか、副作用や、「クロミッド®」との併用に関しても不安を感じています。今後の治療は保険診療で頑張りたいのですが、もしもの時は転院も考えています。

高知大学医学部卒業後、神戸大学医学部大学院修了。医学博士。兵庫県立成人病センター、兵庫県立こども病院の勤務を経て、2008 年より久保みずきレディースクリニック菅原記念診療所勤務。不妊治療から周産期・小児医療まで、地域に根ざした総合的なサポート体制が整う同クリニックで、不妊治療/婦人科、産科を担当する。
休診日が排卵日です。人工授精の日程はどうすればいいでしょうか?
石原先生● 人工授精は、排卵当日か、その直前に行うのが最も効果的です。もし排卵日が日曜で休診日の場合、前日の土曜日に人工授精を前倒しして行うのが一般的です。月曜日だと排卵後になり、タイミングが遅れてしまう可能性があります。
排卵日を薬で数日ずらす方法もありますが、これは常にできるわけではありません。また、病院が土日ともに休診で対応できない場合は、土曜日や日曜日、祝日も診察している施設への転院を検討することも一つの選択肢かと思います。
やまださんが「カバサール®」を処方された理由と副作用について教えてください。
石原先生●「35」という数値はプロラクチンというホルモンの数値だと思います。処方理由は、プロラクチンの数値が高くなっていて、その影響で排卵がうまくいかなくなることがあるためでしょう。副作用としては、吐き気、頭痛、めまいなどの軽い症状がよく見られますが、重い副作用は非常にまれです。また、クロミッドRと併用しても大きな問題は起きにくいでしょう。
では、人工授精を受ける際、普段の生活で気をつけることはありますか?
石原先生●人工授精にあたって、特別なサプリメントを摂ったり、厳しい食事制限をする必要はありません。それよりも、日頃からの基本的な体調管理がとても大切です。バランスのとれた食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけましょう。不妊治療は精神的な負担も大きいため、趣味やリラックスできる時間をもつことも重要です。
また、ご主人の協力も欠かせません。精子は新鮮なものを短時間で病院に届ける必要があり、自宅で採取する場合は、2〜3時間以内に体温に近い状態を保って持参するのが望ましいです。ご夫婦でしっかり話し合い、協力して取り組むことが成功につながります。
今後のアドバイスをお願いします。
石原先生●やまださんは現在37歳。AMH値が良くても年齢が妊娠しやすさに大きく影響します。人工授精を3回ほど試みても妊娠が難しい場合は、体外受精へのステップアップをおすすめします。
SNS や広告など、インターネット上の情報は不安をあおるものも多いため、疑問に感じたことは主治医や看護師に直接確認しましょう。