【Q&A】移植前なのに体温上昇…~林先生【医師監修】

ゆきさん(30歳)

ホルモン補充による移植周期中です。D10なのですが、本日基礎体温が上昇しました。
移植前に基礎体温が上昇することはありますか?おりものは排卵日並みに多めです。

ウィメンズクリニックふじみ野の林先生にお聞きしました。

【医師監修】ウィメンズクリニックふじみ野 林 直樹 先生
1983年、東京大学医学部卒業。埼玉医科大学総合医療 センター(川越市)などを経て、現職。「体外受精、顕微授精も高いクオリティで対応していますが、できる限り自然に近い不妊治療をご提供したいと考えています。 患者さんはそれぞれお悩みも違いますから、どんなこと でもまずご相談を。時にはご要望に沿えず、厳しいこと を申し上げるかもしれませんが、常に患者さんにとって ベストな治療法をご一緒に見出したいと思っています」。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください
ホルモン補充による移植周期での基礎体温上昇がみられることは時にあります。
まず基礎体温が正しく測定できているかどうかが問題です。エアコン稼働の状況や風邪などの状況、測定前にトイレ歩行などしていないかなどが要チェックです。他の原因として月経10日目までに排卵していしまっている場合、前周期に子宮外妊娠しており未診断であった(子宮外妊娠していても月経らしいものは来ます)場合がありえます。
通常は卵胞ホルモン製剤(テープやジェル、内服薬など)を使用していると卵胞発育は抑えられますが、卵巣予備能の低い方や、BMIが高い方などでは、卵胞発育がたとえば10日目までにおこっており、排卵してしまうエスケープ現象がみられることがあります。当然排卵後であったり子宮外妊娠が併存すると基礎体温は上昇します。

帯下が多くなるのは子宮頸管粘液が卵胞ホルモン(エストロゲンに反応しているものと推察いたしますが詳しくは診察してみないとわかりません。移植日決定する日の診察で、超音波検査により子宮内膜厚を測定する際に、排卵した後の黄体の有無や卵胞発育の有無をチェックがあると思いますので、その際に確認、必要ならば黄体ホルモンの採血をすればよいと思います。これらに問題がなければ、基礎体温上昇は無害と判断してよいでしょう。
もし、黄体ホルモンが上昇していた場合には、その周期の移植は通常キャンセルとなりますが、排卵日が特定できるのであれば移植を行っても構いません。次周期以降に、再度ホルモン補充による移植計画をする場合、月経8日目くらいに超音波検査でチェックを受けるとよいでしょう
医師によってはGnRHアナログ製剤(ブセレキュアなど)を併用することで卵胞発育を抑制する方法を勧める場合や自然周期での移植が提案されることもあると思います。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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