mさん(29歳)
元々AMHが18と高値であったため、採卵周期の前に自費でAMHを測定しました。しかし、さらに37という高値になってしまい、動揺しています。
AMHがここまで倍の数値に変動することがありえるのでしょうか。また、37という数値でも卵子の質に影響が出ないのでしょうか。
OHSSもかなり恐れています。これからPPOS法で採卵予定ですが、 PPOS法は妥当でしょうか。
表参道ARTクリニックの小川達之先生にお伺いしました。
【医師監修】表参道ARTクリニック 小川達之 先生
2009年山梨大学医学部卒業。2016年より山梨大学医学部附属病院産婦人科にて不妊治療にあたる。2024年4月より亀田IVFクリニック幕張に入職、2025年8月より表参道ARTクリニックの院長に就任。ひとりひとり個別の状況に対応し、患者様の立場に立った医療を提供したいという想いを持って日々、診療に従事。医学博士。日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医。日本生殖医療学会生殖医療専門医・指導医。日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
AMHは原始卵胞そのものからではなく、前胞状卵胞などの発育過程の卵胞から分泌されています。そのため、測定した状況や周期によってある程度の変動があります。
個人的には、AMH値が10以上の方で数値が倍になるような変化は経験がありません。ただし、いずれの場合もOHSS(卵巣過剰刺激症候群)のリスクが高く、調節卵巣刺激がやや難しい点には変わりがありません。そのため、治療方針が大きく異なることはないと考えられます。
また、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の方では、流産率の上昇には肥満などの合併因子が大きく関係していると報告されています。まだ不明な点も多いですが、卵子の質についてはその時のAMH値だけで一喜一憂する必要はないでしょう。

PPOS法はGnRHアゴニスト法やGnRHアンタゴニスト法に比べてOHSSリスクが低いとされますが、PCOSの方に限ると同程度のリスクがあると報告されています。そのため、OHSSリスクが高いと考えられる患者さまに対してPPOS法を提案することはよくあります。AMHが高い方に対しては、OHSSの重症化予防策が最も重要となります。
応援しています。