▶︎流産後の採卵結果と対策について
低刺激法で治療中ですが、流産後の直近2 回の採卵で受精可能な卵子が採れませんでした。2 回目ではブセレリンを使用しましたが、排卵済みや空胞、未成熟卵のみ。先生から「生理周期的にD 12 の採卵は早く、質の良い卵子が採れないのかも」 と言われ、原因不明で具体的な対策もないそうです。卵巣を長めに休ませる目的のプラノバール®の長期間(21日間)服用も、卵胞の数が減るなどの影響が不安ですし、年齢のこともあり焦っています。

1992 年愛知医科大学大学院修了。蒲郡市民病院勤務の後、アメリカに留学。Diamond Institute for Infertility and Menopauseにて体外受精、顕微授精等、最先端の生殖医療技術を学ぶ。帰国後、IVF 大阪クリニック勤務、IVF なんばクリニック副院長を経て、2010 年レディースクリニック北浜を開院。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。
受精可能な卵子が採れなかったのは、どんな原因が考えられますか?
奥先生●一つは、アゴニストブーストが十分に効いていないか、効いていても卵子が成熟してこないということ。もう一つは、ブーストのタイミングが早すぎて卵子が未成熟だったことが考えられます。
D12の採卵は早すぎますか?
奥先生●卵胞発育は周期ごとに異なり、ゆっくりの周期もあれば早い周期もあるので、「D12が早すぎる」とは一概に言えません。採卵予定日は一般的に「○日」と決めるのではなく、その周期の発育の状況を見て、一番大きな主席卵胞が18mm以上になるのを確認してから採卵日を決めます。ピル服用が長すぎた場合はFSHやLH、エストラジオールの生成が遅くなり、卵胞発育がゆっくりになるので、投与期間は大事になってくると思います。
ブセレリンを2回使用したにもかかわらず、結果が出なかったそうです。
奥先生●ブセレリンはLHの上昇が十分ではないことがあり、HCG注射よりも卵子が採れないケースが時々あります。みほさんの場合はアゴニストブーストが効いていない可能性があるので、たとえばHCG注射に替えたり、それでも効かなければHCG注射とアゴニストを併用するなど、ブーストを替えてみるというのは一つの選択肢になると思います。
現在の低刺激法以外で新たな治療法は考えられますか?
奥先生●みほさんは39歳でAMH値は0.5ng/ml。卵巣予備能低下(DOR)傾向で実際の年齢よりも卵巣年齢は進行していると思われるので、高刺激でも採卵できる卵子は1〜2個程度です。高刺激のロング法やショート法はお休み期間が必要なので3カ月に1回しか採卵できません。低刺激なら毎月採卵が可能なので、効率よく卵子を採ることをおすすめします。
ほかの方法として試すならブーストの変更ですが、それよりも受精可能な卵子をつくることのほうが重要で、その際に有効なのはサプリメントのメラトニンです。当院では次周期のスケジュールを立てるタイミングからの服用を推奨しており、これにより卵子の成熟度や胚の質が上がるという効果を確認していますので、検討してみてください。