【Q&A】成熟卵が少なく、胚盤胞にならない~松原先生【医師監修】

あんずさん(30歳)

採卵しても成熟卵が2、3割しかなく、いつも顕微授精です。
胚盤胞まで育ったことがなく、初期胚もいつもグレードが低く、上手く分割が進みまずに途中で止まってしまいます。
主治医にも「稀なケース」と言われています。
このまま採卵を続けていれば、いつかは胚盤胞まで育ち、妊娠が可能なのでしょうか。

操レディスホスピタルの松原先生に伺いました。

操レディスホスピタル 松原 寛和 先生
名古屋市立大学卒業。操レディスホスピタルでは、生殖医療部門の統括部長として、主に不妊治療を担当。医学博士。日本産科婦人科学会専門医・指導医。日本生殖医学会 生殖医療専門医。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

●採卵を続けることで胚盤胞まで育つ可能性はありますか?

これまでの採卵での成熟卵が少なかったことが原因の一つと考えられますので、採卵を続けることで胚盤胞まで育つ可能性があります。

●成熟卵が少ない原因と改善方法について、先生のご意見をお聞かせください。

①刺激法が合っていない→高刺激法から少しマイルドな刺激法に変更すると良い場合があります。
②トリガー(卵子成熟のきっかけとなる薬剤)のタイミングが早すぎる→卵胞径とE2値のバランスを考えて、少しトリガーを遅くすると成熟卵が増える可能性があります。
③トリガーの効果が弱い→ダブルトリガー(LH製剤の注射とGnRHアナログの点鼻薬を併用する)を取り入れると効果的かもしれません。
④排卵抑制効果が強すぎる→アンタゴニスト法は卵胞発育を強く抑制することがあるため、フレキシブルPPOS法に変更すると卵胞の質と発育が良くなる可能性があります。


●顕微授精で胚の分割が進まないのは、どのような要因が考えられますか?

卵子と精子の質の低下、受精卵の染色体異常などが考えられます。

●初期胚のグレードを向上させるための対策についてアドバイスをお願いします。
「稀なケース」とのことですが、先生でしたらどのような治療方針を提案されますか?

<あんずさんへのアドバイス>
・生活習慣の見直し(7時間睡眠、毎日の軽い運動など)、DHEA、メラトニン、抗酸化作用のあるサプリメントを服用
・フレキシブルPPOS法で少しマイルドな卵巣刺激法を選択
・トリガーのタイミングを少し遅めにして、ダブルトリガーに変更
・顕微授精の際にIMSI、PICSI、ZyMotなどで良質な精子を選別

<ご主人に対してのアドバイス>
・生活習慣の見直し(7時間睡眠、毎日の軽い運動、禁煙など)、抗酸化作用のあるサプリメントを服用

これらの方法が全てではありませんが、毎回少しずつ治療方法を工夫していかれることをお勧めいたします

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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