【Q&A】採卵数が少ない、PGT-Aの有効性~浅田先生【医師監修】

ちょこさん (44歳)

今の治療が最善でしょうか?採卵ではいつも、採れても1〜3個で、そのうち1個のみ胚盤胞になるという感じです。
やはり44歳という年齢を考えると、PGT-Aはやった方がいいでしょうか?

浅田先生に聞いてきました

【医師監修】浅田レディースクリニック 浅田義正 先生
名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の名古屋駅前、勝川、東京・品川にクリニックを開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)など多数。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

最近EMMA/ERAをされたそうですが、ERAの検査は世界的にエビデンスがないどころか、むしろ結果が悪いと報告されています。

子宮内膜がホルモンに反応して月経となるため、ホルモンの使い方によって月経の量は変わります。特に質問者さんのようにクロミッドを多く使用していると、子宮内膜は薄くなり、月経量が少なくなる可能性はあるでしょう。

葉酸は赤ちゃんが健康に育つためには大事ですが、葉酸を含め、ビタミンD、亜鉛といったサプリメントや漢方などを服用しても、卵子の数が増えることや、卵子の質がよくなることはありません。

先進医療の中にはタイムラプスがあり、胚をタイムラプスインキュベーターで培養することは現在では当然と言えますが、それ以外の現在先進医療の中に組み込まれているものは、ガイドランを作成したときに、妊娠率を上げるエビデンスがなく、推奨レベルがCになったものを、ひとまず先進医療という枠組みの中に入れたものです。将来的にはすべて消えていく治療と考えてよいでしょう。妊娠率を上げる効果はありません。

毎回1個~3個しか採卵できず、その内1個のみが胚盤胞になるということですが、AMHが0.7のため、もう少し多く採卵できる卵巣刺激が可能と考えます。卵巣刺激のレベルが高い施設で1回の採卵の数を増やし、成熟卵を適切に採り、胚盤胞の数を増やしてほしいと思います。

PGT-Aは適切に実施すれば非常に有効です。適切な卵巣刺激、さらに受精操作、培養操作、生検の技術などが高くなければPGT-Aの十分なメリットが得られません。また、胚盤胞が1個しかなければ選ぶことができませんので、PGT-Aを行うメリットはあまりないでしょう。より多くの胚盤胞が確保できれば、無駄な移植をせずに妊娠までの時間を短縮でき、費用の軽減にも繋がります。
44歳は成熟卵が採れにくい年齢に入っているため、年齢の要因、卵巣予備能の要因を加味し、その後の成績が向上する成熟率のよい成熟卵を適切に採れる施設で治療して、胚盤胞が多く採れればPGT-Aを受けてほしいと思います。

 

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