【Q&A】転院後に処方が変更…前の治療とどちらを信じる?~小川達之 先生【医師監修】

りのたさん(35歳)

転院前と転院後で薬の処方が代わり、何か正解なのか心配なったので質問してみることにしました。

転院前の病院では、HOMAーRの結果が3.20で耐糖能障害で診断され、グリコランが一日3錠処方されました。
飲み忘れると妊娠に影響するので飲み忘れないように、と念押されました。転院後の病院では、初診で不要とのことで中止になりました。

産婦人科学会の見解を確認したところ、主に肥満やPCOSの人へ処方する薬とのことで、採卵から中止ということで理解しました。(間違っていたら申し訳ありません。)

転院前は移植後の妊娠判定まで飲み続けていたのが正しかったのか不安になりましたし、転院後の病院では、採卵前なのに中止してしまってよかったのか不安になりました。

上にも記載しましたが、肥満でもPCOSでもありません。それぞれの病院の経験によるそれぞれの判断なのかもしれないですが、どのように考えたらよろしいでしょうか。

亀田IVFクリニック幕張の小川達之先生にお伺いしました。

【医師監修】亀田IVFクリニック幕張 小川達之 先生
2009年山梨大学医学部卒業。2016年より山梨大学医学部附属病院産婦人科にて不妊治療にあたる。2024年4月より亀田IVFクリニック幕張に入職。ひとりひとり個別の状況に対応し、患者様の立場に立った医療を提供したいという想いを持って日々、診療に従事。医学博士。日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医。日本生殖医療学会生殖医療専門医・指導医。日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

そもそも国内における不妊治療でのメトホルミンの保険適応は、「多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、および生殖補助医療における調節卵巣刺激。ただし、肥満、耐糖能異常、またはインスリン抵抗性のいずれかを呈する患者に限る」とされています。
このように、通常はPCOSによる排卵障害があり、かつ肥満やHOMA-Rが高値であるようなケースに使用されます。



メトホルミンの胚発育や着床、妊娠継続に対する有効性については、以前から複数の研究が行われてきました。近年では、非PCOSでインスリン抵抗性を有する患者に対し、胚移植前のメトホルミン投与が流産リスクを低下させ、生産率を向上させたとの報告もあります。ただし、その有効性については依然として明確な結論が得られているわけではありません。
HOMA-R 3.20は、高値と判断する施設が多いと思われます。冒頭に記したような一般的な使用方法ではありませんが、標準的な治療を十分に行っても結果が出ない場合には、メトホルミンの使用を含めた個別対応が検討されることもあります。したがって、施設によって処方方針が異なるのは必ずしも不自然ではありません

ご不安な点があれば、主治医とよく相談のうえ、ご自身にとって最適な治療方針を見つけていくことが大切です。
応援しています。

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