【Q&A】流産後すぐの移植は可能?~加藤 徹 先生【医師監修】

たぬきさん (35歳)

5月、初めての体外受精で妊娠しましたが6週で流産。手術はせず、自然に流れました。先生からは「次の生理がきて内膜とホルモン値が問題なかったら次周期移植できる」と言われ、6/28に生理がきて内膜も綺麗だったので移植周期に入ることになりました。hcgは調べていません。
10日後にホルモン値を調べるそうでエストラジオール内服を開始しました。流産後の生理が今までと違って鮮血で、卵の白身混じりのものも多かったり3日目でドバッと出血したり安定していません。
流産後は2〜3周期明けるところも多い中、このまま進めても問題ないでしょうか。
Kobaレディースクリニック 加藤 徹 先生にお聞きしました
【医師監修】Kobaレディースクリニック 加藤 徹 先生
兵庫医科大学大学院卒業後、兵庫医科大学病院周産期センター長や医局長を歴任し、令和4年よりkobaレディースクリニック副院長として従事。令和6年6月同院長就任予定。日本生殖医学会認定生殖医療専門医、指導医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

流産後すぐに移植を再開することのリスクはありますか?

以前までは、流産後は少し間隔を空けた方がいいと言われていましたが、最近の文献で流産後は間隔を空けなくても妊娠率に影響は無いことがわかっています。もちろん現在の子宮内膜の状態や体調を見てですが、問題ないのであれば間隔を取る必要はありません。

流産後の生理の変化は正常だと考えられますか?

流産後の初めての月経に関しては、通常とは性状が異なるものになります。理由として、流産して胎児成分の大部分は排出されますが、妊娠する際に形成された脱落膜という内膜成分がまだ子宮内には多く残存しています。その脱落膜が月経と同時に排出されるので、月経量としても若干多くなったり、通常とは異なる様に感じられると思います。

エストラジオール内服の目的を教えてください。

恐らく、ホルモン補充周期での移植を検討されているのだと思います。
胚移植の方法には大きく2種類あり、ご自身の排卵に合わせて移植を行う自然周期とホルモン剤を使用して移植するホルモン補充周期があります。ホルモン補充周期では、排卵させずにエストロゲン製剤を使って子宮内膜を肥厚させて移植をするため、エストロゲンの内服が必須となります。採血でエストロゲンの数値を計測するのも、エストロゲンが足りているかを測るものです。

今後自費診療も含めてできることについて

流産の原因の多くは受精卵の染色体異常によるものと言われています。ただし、母体に流産しやすい素因が見つかることもありますので、その辺りも含めてあらかじめ不育症検査をしておくのも一つです。また、先進医療で子宮内の環境を調べる検査もあります。
受精卵の染色体の異常は外見だけでは判別がつきません。条件がありますが、染色体異常による流産や胚移植の失敗を減らす目的で、自費診療にはなりますが、着床前胚遺伝学的検査(PGT)を行うこともできます。一度ご検討ください。
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全記事、不妊治療専門医による医師監修

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