【Q&A】グレードの低い胚盤胞しかできない~稲垣先生【医師監修】

りんさん(33歳

採卵①
採卵数23個→成熟卵16個、未熟卵6個、変性卵1個

成熟卵16個に対して体外受精を行い
2前核 12個、多前核 4個

培養した胚12個の内、凍結できた胚3個
全てグレード3 4CBでした。

保険治療のグレードCの場合は移植しても70%が流産となるデータがあるとのことで、廃棄し再度採卵することになりました。
今は採卵②の結果待ちです。

主治医からは「採卵①の結果(成熟卵の数、受精率、胚盤胞が得られた数)は年齢の割には少なく、悪い結果」と言われました。
原因は特定できないが、採卵②は違う薬剤を使ってみた方が良いとのことでフェマーラ→クロミッドへ変更して採卵②を行っています。

質問①
採卵①で成熟卵が少なかった理由、2前核が少なかった理由、凍結できた胚が少なかった理由、グレードが悪かった理由は何が考えられるのでしょうか。
成熟が足りなかったのでしょうか。
それとも卵子の染色体異常なのでしょうか(2025年2月に7週で初期流産になっています)

質問②
万が一、採卵②でもグレードの悪い胚盤胞しか得られなかったり、凍結できる胚がなかった場合、今後どのような治療を行うべきなのでしょうか。
採卵②の前に、主治医から自費診療であれば使える薬剤や診察日程の制限がないため、結果が異なる可能性もあるとお話はありましたが、今回は薬剤を変更してみるという案も提示して下さっていたため保険診療にしました。

稲垣先生にお話をおうかがいしました。

【医師監修】いながきレディースクリニック 稲垣 誠 先生 
1994 年、浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院、鹿児島市立病院、聖隷沼津病院などで産婦人科医の経験を重ね、2012 年、不妊治療専門施設「いながきレディースクリニック」を開院。「お一人ひとりに寄り添いながら、それぞれの患者さまに合った最適な治療を心がけています」

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

●採卵①で成熟卵や 2前核が少なかった理由は何が考えられますか?

初回の採卵では当院でも時々遭遇しますが、初回の採卵時はこれまでの卵巣のコンディションが反映されるのではないでしょうか。長期にわたって卵巣にとどまっていた卵子なども採卵されるため、状態の不良な卵子が獲得されると考えています。

●採卵①で凍結できた胚が少なく、グレードが悪かったのはどのような要因が考えられますか?

上記①の回答と同じです。もちろんそれ以外の要因も考えられますが、精液所見等も不明のため、憶測で述べるべきではない(情報が少ない)ので割愛します。


●採卵②でも結果が悪い場合、次の治療方法についてご提案ください。

上記のことから、一度採卵した卵巣は、ある意味リニューアルしたような状態ともいえるでしょう。そのため前回の採卵とは違う状態での採卵となると思われます。そのため状態のいい卵子が回収できることが期待されます。しかしながら結果が伴わなかった場合は排卵誘発法の変更や、子宮内膜症があることから、こちらの治療を検討するという選択肢もあるでしょう。

●採卵前の採血の結果は正常と判断してよろしいでしょうか?

採卵①に際してはE2値よりもP4がやや高い印象です。P4値は採卵②の時のほうが1未満に収まっていて、より理想的だと思います。E2値については採卵数(採卵①の場合)に比してやや低い印象もありますが、問題とするほどではないと思います。

●E2の目安について、先生のご意見を教えてください。

当院では採卵前、主席卵胞が成熟したと判断された時で卵胞1個当たり300pg/mL程度と考えます。ただし、主席卵胞以下はそこまで成熟が進んでいないと考えればもう少し低い値で解釈してもいいかもしれません。レトロゾール(フェマーラ)はエストロゲン合成阻害薬ですから、これを服用した周期のE2値は低く計測される傾向があるため、参考程度と捉えたほうがいいでしょう。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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