セルフ灸やツボ押しで日々セルフケア
夏は冷やしすぎない、気を巡らせることが大事
西洋医学の何千年も前から存在し、鍼灸や漢方の元になる中医学。夏の冷えについて、中医学の観点から明治国際医療大学の田口玲奈先生に伺いました。

鍼灸学博士。鍼灸領域における専門は婦人科領域。産婦人科領域における鍼灸の効果、月経異常・不妊に対する鍼灸の効果、東洋医学による女性のヘルスケア、などを研究。
季節と体の関係を重視し、バランスを整えて
鍼灸の元の理論、中医学は西洋医学が発展する何千年も前から経験に基づいて発展してきました。自然との調和を重視し、人間の体も自然の一部として季節や環境の変化の影響を受けると考えます。中医学に代謝という用語はなく、代わりに「気・血・水」の循環で体の機能を見て説明していきます。
夏は発散の季節です。自然界でいえば、太陽の光が強くなり、植物がぐんぐん伸びていくように、人間も「気」も巡らせて外に発散することが大事なのです。
しかし、梅雨から夏にかけて「気」の巡りが悪くなる方が多くなります。冷たい飲み物や冷房で体が冷えると、発散がうまくいかなくなるからです。夏バテのような症状が出るのはそのためです。
鍼灸では、「気」だけでなく、「気・血・水」のバランスを重視しています。下記の「合谷(ごうこく)」「三陰交(さんいんこう)」「足三里(あしさんり)」は不妊治療の定番ツボです。ホルモンバランスを整えてくれるということでクリニックの治療と並行して鍼灸を受け、体調を整えている方も多いです。
最近は自宅でセルフ灸をする人も増えてきました。とても良いことだと思います。自身で週に1~2回リラックスを兼ねて取り入れるだけでも効果は期待できます。
お灸が苦手な人はツボを押すだけでも十分です。鍼灸やツボ押しの刺激は自律神経を整え、子宮や卵巣の血流をアップして子宮内膜を厚くしてくれます。また、ストレス緩和にもつながります。
夏の養生としておすすめは早起きです。日光を浴びて「陽」の気のパワーをもらってください。
自然との調和を意識し、気持ちを楽にして過ごすことで気の巡りも良くなります。補足になりますが、中医学で気を補う食材といえば、山芋です。万能食材なので代謝が落ちていると感じた時こそ食べてみてください
体調チェック
次の項目で代謝の低下や、体の中の冷えをチェック!
一つでも当てはまるものがある人は要注意。
・もともと肥満ぎみ
・スタミナ料理、高カロリーの食事を積極的に摂る
・毎日飲酒をする
・冷たくて甘いもの(アイスクリームやかき氷)や清涼飲料水をよくとる
・食欲がなく食事はそうめんや冷や麦中心、または抜くことが多い
・冷房などの影響で手足が冷えやすい
・外出時の移動時間は冷房の効いた車や電車などが多い
・入浴はシャワーのみ、湯船に浸からない
・日常的に運動習慣がない
・寝る前にテレビやスマートフォンを見る