まくまくさん(40歳)
夫39歳、妻40歳、自費診療にて不妊治療中です。
今月、初めてPGT-Aの正常胚(クリニック独自のグレードA)を移植しましたが、1週間後の判定日にhCG0.3で陰性でした。
①
PGT-A検査が100%ではないことは分かっておりますが、胚ではなく受け入れる側の子宮に何か問題があるのではと心配しております。
あと1つPGT-A正常胚が残っているのですが、このまま移植に進んでも大丈夫なのでしょうか?
ネットで調べているとEMMA/ERA/ALICE検査など着床不全の検査が出てきますが、費用面の不安はあるものの何か子宮内を調べる検査を行った方が良いのでしょうか?
②
早く授かりたい気持ちと、採卵を続けて行ったため経済面の負担が大きく、次の生理が来たら子宮内が大丈夫であれば移植に進みたい気持ちがあります。
AMHが0.225と低いことも不安ではありますが、低AMHですと採卵を優先した方が良いと思われますか?
③
PGT-Aを実施する前にクリニックにグレードAとDの胚が凍結してあります。
医師から「Dの胚は解凍してPGT-Aに出したら成長が止まったりダメになってしまうかもしれない。Aの胚は解凍してPGT-Aに出しても持ちこたえてくれるかもしれない」と話がありました。
流産の不安もありますが、せっかくの貴重な受精卵をPGT-Aに出してダメにしてしまうのも心配です。
どちらの胚も解凍してPGT-Aに出さずそのまま移植することを考えた方が良いでしょうか?
④
もともと子宮内膜が薄いのか移植がキャンセルになったこともあり、その際に調べていたらPRP療法というものを見つけました。
現在の通院先では行っていないようです。今回の移植時は7ミリでした。
子宮内膜を厚くする方法は何かありますか?PRP療法というのは子宮内膜が薄い場合、有効なのでしょうか?
長くなり申し訳ありません。よろしくお願いいたします。

金沢大学医学部卒業。国立病院医療センター(現・国立国際医療研究センター)、虎の門病院を経て米国ワシントン大学に留学。1996年虎の門病院に復帰した後、1999年千葉市に不妊治療専門『高橋ウイメンズクリニック』を開院。2014年ベストドクター認定(ベストドクターズ社)。2022年10月に開院から累計で妊娠2万例を達成する。
前回、PGT-A正常胚でも妊娠せずにご不安なのですね。
PGT-A正常胚の妊娠率は、2/3程度です。したがって1/3程度は妊娠しません。今回妊娠しなかった理由は残念ながらわかりませんが、確率的にはおかしなこととは言えないのです。
一方、過去に科学的妊娠や臨床的妊娠はしています。
①EMMA/ALICE検査は、無駄ではありませんが、着床障害の原因がある可能性は高くはありません。そのまま移植に進んでもおかしな判断ではないのです。一方、気になっているならば、念のために着床障害の検査をすることは無駄ではないので、子宮鏡、EMMA/ALICE検査(または、CD138 、子宮内フローラ)などの検査はあり得ます。
②採卵を優先するかどうかの判断は難しいところですが、今後も複数のお子さんの可能性を少しでも追求するならば、採卵を優先する考えはあり得ます。
③残っている胚は2個です。流産が心配ならばPGT-Aをする意義は十分あります。流産よりも妊娠の可能性を重要視するならばPGT-Aの意義は少なく、検査せずにそのまま移植(場合によっては2個移植)するほうが良いかもしれません。
④子宮内膜を厚くする方法は、ビタミンE、アスピリン、ビタミンC、Lアルギニンなどがしばしば使用されますが、効果は不明瞭です。しかし試してマイナスはないと思います。PRP療法は、子宮内膜が薄くても効果があるとの報告があります。これも試してみてもよいかもしれません。ただし、実際に今まで妊娠していますし、妊娠するかどうかの主原因は、胚の染色体異常の有無です。子宮内環境が主原因ではなく、あくまで補助的な位置づけなのです。
様々な条件、考え方があり、明確な判断はこの場でできるものではありませんが、判断のお役に立つならば幸いです。