【Q&A】移植後の出血について~福井敬介先生【医師監修】

りんさん(38歳)

昨年から体外受精を始め、今回の胚移植が3回目になります。
膣剤を入れていましたが、移植後1週間後くらいから出血が始まりました。
1回目のときと同じような状況なので、今回もダメだったのではないかと感じています。

妊娠判定について、医師からは「処方している膣剤がなくなる頃(移植後2週間くらい)にひとまず市販薬で妊娠検査してみて」と言われたのですが、通常そういうことはあるものなのでしょうか?

また、他の方の記事などを見ているとホルモンの値を採血検査で見たりしているような内容がありますが、私はあまり採血検査をされたことがありません。
これも通常はあることなのでしょうか?

不妊の原因については「原因不明」と言われてますが、体外受精がうまくいかなかったことを尋ねても「どうしてだろうね」と言われ、モヤモヤしています。

転院も含め考えているところですが、通院距離などを考えると転院すべきかどうか迷っているところもあります。
ご意見いただければ幸いです。

小川誠司先生に教えていただきました。

福井ウィメンズクリニック 福井 敬介 先生
2日本大学医学部卒業。卒業と同時に愛媛大学産科婦人科に入局。愛媛大学大学院医学専攻科修了。2000 年愛媛大学産科婦人科学助教授。2001 年、「高度な生殖医療をより身近な医療として不妊カップルに提供したい」と福井ウィメンズクリニックを開設する。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

●膣剤の使用と移植後の出血について教えてください。また、りんさんのようなケースで出血が見られた場合の対応策についても教えてください。

新鮮胚移植の出血であれば、ホルモンのバランスかも。
凍結胚のHRC融解移植なら、ホルモン以外の原因検索が必要です。

●移植後の妊娠判定について、市販薬の使用を推奨するケースは一般的なのでしょうか。それとも、hCGの採決結果を実施するほうが多いのでしょうか?

判定法は尿検査か血中hCGがありますが、どちらでもかまいません。妊娠5週目の超音波で確定診断をすることが重要です。
施設によって考え方があるのでどちらが多いかは断言できません。

●体外受精がうまくいかなかった場合、どのような検査や治療法を提案されますか?特に、「原因不明」とされるケースでの対応について詳しく教えてください。

保険診療内での対応できる検査および先進医療による検査があります。どの検査をするかについては施設の方針が少しことなることがあります。

●体外受精の失敗を繰り返した場合、転院を考慮すべきタイミングや判断基準について、先生の見解を教えてください。

転院の具体的基準やタイミングはありません。本人が合わない思えばそれを機に転院されていると思います。そのためにはよく主治医の先生と相談をしたり、提供してもらった説明書ももう一度読み直して、十分検討してから転院を考える必要があります。

●一般的に、通院距離は不妊治療の成功率にどの程度影響しますか?また、転院を考える際に通院距離をどの程度重視すべきか、アドバイスをお願いします。

どこまでが遠距離かは基準はありませんが、通院に車で3時間以内であれば十分治療することは可能です。さらに最近では、ご自身の脂肪や月経血に由来する間葉系幹細胞を卵巣に投与するという、より先進的な再生医療も不妊治療に応用されつつあります。
一方、メラトニンやDHEA(Dehydroepiandrosterone)、PQQなど卵巣機能改善に良いとされるサプリメントの摂取や、十分な睡眠をとる、食生活の見直しも大切です。アンチエイジングの観点から適度なファスティング(断食)が有効との報告もありますので、無理のない範囲でそういった生活習慣の改善にも取り組んでいただくのが良いと思います。

みちさんにとって、いつまで、どこまで不妊治療を行うかは非常に重要です。後悔なさらないよう、ご夫婦でよく相談された上で、PRPをはじめとする今できる治療を最大限やられることが良いと思います。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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