【Q&A】チョコレート嚢胞、自然妊娠できる?~松原先生【医師監修】

うさぎさん(27歳)

早めの妊娠希望です。
チョコレート嚢胞ということと、反対側の卵巣も腫れてしまっているということもあり、他の病気も隠れてるのではないかと不安です。
このまま自然妊娠できるのでしょうか?早めに妊娠したい。という希望がありますので、不妊治療を開始したほうがいいでしょうか?

また、他の病院に転院したほうがいいのか、悩んでおります。よろしくお願いいたします。

操レディスホスピタルの松原先生に伺いました。

操レディスホスピタル 松原 寛和 先生
名古屋市立大学卒業。操レディスホスピタルでは、生殖医療部門の統括部長として、主に不妊治療を担当。医学博士。日本産科婦人科学会専門医・指導医。日本生殖医学会 生殖医療専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

●チョコレート嚢胞や卵巣の腫れが自然妊娠にどの程度影響を及ぼす可能性があるか、先生の見解をお聞かせください。

チョコレート嚢胞の自然妊娠への影響として卵子の質の低下による妊娠率の低下が考えられます(具体的な数字はわかりません)。また、生殖医学関連の学会では、チョコレート嚢胞のサイズが4cmを超えたら手術、4cm未満であれば妊娠を先に考えることが推奨されています。ですので、私はチョコレート嚢胞を合併されている方に対して、4cmを基準に治療方針を決めております。

チョコレート嚢胞以外の卵巣の腫れは、未破裂卵胞などの一時的な腫大と腫瘍が原因である場合が考えられます。今回、うさぎさんのチョコレート嚢胞でない側の卵巣の腫れは、一時的である可能性が高いですので、1〜3か月で自然に消失するのを待たれることをお勧めします。3か月たってもサイズが変わらない、又は増大する場合は腫瘍マーカー、MRI検査等での評価が必要となります。

●うさぎさんに対し、現状の病状を考慮した上での最適な妊娠へのアプローチは、自然妊娠を試みることでしょうか? あるいは早期に不妊治療を開始すべきでしょうか?

チョコレート嚢胞(子宮内膜症があることで妊娠しにくい状態になっている可能性がありますので、排卵誘発剤の使用、人工授精など早めに積極的な治療を開始し、6か月以内に妊娠されない場合は体外受精に移行されると良いと思われます。

●チョコレート嚢胞や卵巣の腫れが他の病気を隠してしまう可能性はありますか?   また、うさぎさんの病状を把握するために追加すべき検査はありますか?

チョコレート嚢胞や卵巣の腫れが、まれに悪性に変化することがあります。エコーで悪性を疑う所見を認めた際は、腫瘍マーカーやMRI検査を受けられることをお勧めします。

●うさぎさんの病状と早期の妊娠希望を考慮した場合、転院をお勧めされますか?   また、その場合は何を基準に病院を選べばよいでしょうか?

早めに排卵誘発剤の使用、人工授精、必要に応じて体外受精へステップアップしていくことが大切です。これらの治療ができるかどうかで、転院を検討されてはいかがでしょうか。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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