【Q&A】検査異常なしで2回の流産~苔口先生

くま子さん(32歳)

体外受精を今まで3回していますが、1回目は流産、2回目と3回目は着床すらしませんでした。着床不全の原因を探るため、子宮内フローラ検査と不育症の血液検査をしましたが、どちらも異常はありませんでした。今月4回目の移植を予定していますが、また着床しないのではないかと悩んでいます。
何か考えられる原因はありますでしょうか?
また、移植周期に飲んでおいたらよいサプリがありましたら教えてください。

英ウィメンズクリニックの苔口昭次先生にお伺いしました。

英ウィメンズクリニック 苔口昭次 先生
1984 年、宮崎医科大学卒業とともに岡山大学医学部産婦人科学教室に入局。1992 年医学博士( 岡山大学)。高知県立中央病院産婦人科勤務を経て、神戸掖済会病院産婦人科部長に。2004 年より英ウィメンズクリニック勤務、2013年同院長に就任。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

着床不全を含め妊娠継続できない原因については、男性側と女性側があります。
くま子さんの場合考えられる多くの検査をされているので消去法で考えていきます。良好胚盤胞が凍結してあるとした前提でお話していきます。
くま子さんのご年齢からすると良好胚であれば60-70%の確率で正常核型のはずなので、何度も着床しないのはなにか原因があると考えざるを得ません。ただ特定できていませんね。

そこで子宮内環境については、内膜厚、不育検査、着床窓、子宮内フローラ環境、卵管水腫有無、子宮筋腫や子宮腺筋症の有無、免疫的が考えられます。内容からすると上記にすべて問題ないかもしれません。
不育の検査は多種ありますので施設によってはかなり違う場合もあります。子宮鏡検査は受けられていますでしょうか?
検査でマイクロポリープが見つかりフローラでとった子宮の一部の組織でなく、全体の把握が子宮鏡でできるのではと思います。最後の3項目で可能性のある項目であれば、卵管閉塞が片方であれば、水腫の有無を再評価する必要があるかとも思います。また、月経時に血の塊が出るようであれば子宮腺筋症も考慮しなければなりません。
免疫的には、保険適用のないth1/th2はNK活性検査がありますが、NK活性検査はされていますでしょうか。th1/th2は検査できても保険ではタクロリムスという薬剤を使用できないのでこれはお勧めできません。ビタミンDや亜鉛銅などの微量元素測定もできるかもしれません。できる検査はこのくらいです。
仮に次回採卵であれば、今回良好胚盤胞ができた場合でも男性側の精子のDNA断片がないかを調べることをお勧めいたします。
仮にすべての検査で異常なければ、GnRHアゴニストで月経を2か月くらい止めてから移植する方法やスクラッチ法をお勧めいたします。

サプリメントにつきましては、ビタミンD測定で低値であればこれをお勧めいたします。
通常サプリメントは2-3種類くらいをお勧めしています。稀にいろんな人に聞いて患者さんは勧められたものを内服して、積もり積もって10種類くらい内服しているかたもおられます。そんなに必要はないと思います。ひとまず2種類内服していますので、食生活や睡眠を確保して、自律神経の副交感神経の安定した生活を心がけていただきたいと思います。
ほぼ原因が判明しなくてもやもや感が続くかと思いますが、前向きに考えていきましょう。まとめますと、くま子さんの検査がすべて問題なければ、いまできることはスクラッチ法、SEET法(していないなら)、あるいはGnRHアゴニスト投与後の移植、再度採卵ならば、採卵前にご主人の精液検査をお勧め致します。

こころ穏やかでないと思いますが、毎日健康的に身体を動かして、またからだの力みを抜き、笑顔で毎日ワクワクしながら自律神経を整えて移植に向かってください。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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