【Q&A】繰り返す流産。原因は?~稲垣先生【医師監修】

もかさん(33歳)
過去8回移植し、6回流産となっています。
毎回判定日には高い数値で陽性となるのに、ほとんど5w2d~3dで出血からの流産となってしまいます。
移植5回目からはバイアスピリンを服用しましたが、PGT-A正常胚でも同じ結果でした。
今のクリニックでは「やれることはやっているので繰り返していくしかない」と言われていますが、これだけ同じタイミングで流産となると染色体異常以外の何か同じ原因が考えられると思っています。
次の移植へ向けて何かできることや、変えた方がいい事はありますか?ちなみにすべてホルモン補充による移植でした。

【医師監修】いながきレディースクリニック 稲垣 誠 先生 
1994 年、浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院、鹿児島市立病院、聖隷沼津病院などで産婦人科医の経験を重ね、2012 年、不妊治療専門施設「いながきレディースクリニック」を開院。「お一人ひとりに寄り添いながら、それぞれの患者さまに合った最適な治療を心がけています」

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

●これまでに繰り返し流産を経験し、特に 5w2d~3dで起こることについて、何か特定の原因や問題が考えられますか?

特定の原因というのはなかなか指摘するのは難しいです。PGT-A正常胚を移植して妊娠不成立ということですので、胚が原因ではないということだと思います。ただ、PGT-Aも完璧ではありません。染色体の微小欠損などは検出できないこともあります。いただいた内容では情報が不足しており、実施されているかもしれませんが、子宮の形態異常や卵管の疎通性(←子宮卵管造影検査など)、その他甲状腺機能等の全身性疾患の検索はされているのでしょうか。そのほかERA検査や子宮内フローラ、慢性子宮内膜炎などの検索も検討されてもいいのではないでしょうか。不育症外来や遺伝カウンセリングの受診も検討されることをお勧めします。

●ホルモン補充による移植は、もかさんの体質に合っていると思われますか? それとも他の移植方法を試すべきだと思われますか?

これについてはこれだけではわかりません。使用薬剤の種類や用量もわかりませんので。ただ、これだけ不成功が繰り返されているのであれば排卵周期法での胚移植も十分検討には値すると思います。

●バイアスピリンの服用が、もかさんの状況にどのような影響を及ぼしていると思われますか?

低用量アスピリン療法のことを指されていると解釈します。低用量アスピリン療法は血小板凝集抑制作用による抗凝固作用を利用する治療です。

●もかさんの次の移植に向けて、改善や変更すべきライフスタイルや治療方針についてアドバイスをお願いします。

上記カウンセリングや専門外来等の受診を検討したり、またこれだけ同一施設でも治療で結果が出ないのであれば、何らかのミスマッチがご依頼者の方と通院中の施設にあるのかもしれません。どちらがというわけではないのですが、ここはひとつ治療環境を変えてみることも検討に値するのではないでしょうか。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。