みーさん(31歳)
9月末より婦人科でのタイミング療法を始めて、今2周期目になります。先日、卵胞チェックに行った際2.8mmで排卵直前という診断でした。自宅でも排卵検査薬で陽性が出ていたので排卵したものだと思っていました。
しかし、本日排卵後のチェックに行ったところ「黄体期にはなっているが卵胞の袋が潰れきっていない。黄体化未破裂卵胞の可能性もあるが言い切れない」「もしかすると少しでも破れてそこから排卵した可能性もあるため、なんとも言えない」と言われました。
生理が来るか来ないかで判断するそうです。
私が気になるのは、本当に少し破れて排卵する事などあるのかという点です (ちなみにクラミジアは陰性です)
またこのような場合、妊娠が成立する可能性は低いでしょうか。
卵胞のサイズもしっかりあり、タイミングもしっかり取れただけあってショックです。
津田沼IVFクリニックの高木先生に伺いました。
千葉大学医学部附属病院、
●先生でしたら、みーさんの現在の状況において、「黄体化未破裂卵胞」の可能性と「少しでも破れてそこから排卵した可能性」のどちらをより高い と見られますか?
可能性が一番高いのは、①排卵はしたが、黄体が正常に退縮せずに嚢胞化した黄体嚢胞です。その次が、②排卵することなく黄体化した、いわゆる黄体化未破裂嚢胞(LUF)と思います。「少しやぶれてそこから排卵した可能性」というのはどちらかというと①をさしているのかと推測されます。
●「黄体化未破裂卵胞」について、これが起こる原因や、その後の排卵・妊娠への影響について教えてください。卵胞が「少しでも破れてそこから排卵」するという現象は一般的なのでしょうか? また、そのような状況下での妊娠の可能性について教えてください。
頻度的には 多くは①で、こちらは排卵しているのでタイミングが合えば妊娠の可能性があります。まれに排卵せずに②黄体化未破裂嚢胞となった場合は排卵していないので妊娠の可能性はないということになります。
①と②の鑑別はなかなか難しく、明確にいうのは難しいのですが、①は正常な方でも時々認めることがあります。次の月経までには退縮していることが多いです。妊娠している場合はしばらく継続して残ります。
②は子宮内膜症やクラミジア感染症による卵巣周辺の癒着、卵胞壁の肥厚、薬剤(非ステロイド性消炎鎮痛剤)、ホルモンの乱れの影響などが考えられています。
排卵後の嚢胞がだんだん大きくなることや、月経後にも遺残として残っている、プロゲステロンが比較的低値などの所見があるようです。
排卵後の嚢胞の経時的な超音波検査所見や、患者さんの既往歴や、毎周期によくみられる現象なのかどうかなどが鑑別のヒントになります。
●みーさんの現在の状況で、次回の排卵や妊娠に向けて何か特別な治療が必要となるでしょうか?今後、同様の状況が起こることを防ぐためのアドバイスや対策を教えてください。
PCOSや肥満、癒着が疑われる既往がない場合は、特別な治療は必要ないと思います。排卵後に超音波検査をしてきちんと排卵しているか確認していくのがよいと思います。HCGの使用時期が早いことや排卵時期に痛み止めを使用することなどがリスクとしてはありますのでその点に注意しながら経過をみるのがよいと思います。