【Q&A】移植前後の不正出血~藤本先生【医師監修】

ゆうりさん(36歳)

生理がきてから2日目に受診をし、エストラーナテープを指示通りに貼っていても、通常の生理同容量の出血が起こってしまいます。振り返ってみると移植後の生理の後は不正出血をします(不正出血→移植→不正出血の流れになっています)。
生理2日目のE2の値は直近で100程度でした。
第一子の時は、初めての移植で妊娠したので、このようなことは初めてです。お金もかかっていますし、月の半分は出血しているので、心もしんどいです。
エコーもポリープなどは見られないと言われます。
不正出血がこのように何度も起こる理由として考えられることはなんでしょうか?なぜエストラーナテープを貼っているのにも関わらず出血が起きてしまうのでしょうか?
1回ならまだしも何回も続くと不安です。今後どのような方法があるのでしょうか…。
また、もしこのような状態で運良く授かれたとした時に、出産時のリスクが高くなる可能性はありませんか?

【医師監修】さっぽろARTクリニックn24 藤本 尚先生
日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医、臨床細胞学会細胞診専門医。札幌医科大学産婦人科、神谷レディースクリニック 副院長を経て、医療法人社団 さっぽろARTクリニック開院し理事長に就任。2019年5月 医療法人社団 さっぽろARTクリニックn24開院。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
初めに、ゆうりさんの状況は実は中々一般的な状況と異なります。一つは癒着胎盤後であること、一つは子宮動脈塞栓術後であることです。
第一子分娩時に起こった結果ですが、癒着胎盤は時に母体の命にもかかわる疾患です。3リットルの出血で輸血も必要となったとのことですが、癒着胎盤における胎盤剥離後の本来止まらない出血を止める一番確実な方法は子宮摘出となります。
しかし、ゆうりさんが第一子分娩とのことで、なんとか第二子出産の可能性を残すために子宮動脈塞栓術で出血を止めることができたものと予想されます。これは第一子分娩にかかわった先生たちが賢明に対処してくれたおかげと言えます。子宮を残すことで第二子出産の可能性を残してくれたということです。
そして今、この二つの状況が一般的にはあまり起こらないホルモン補充周期での不正出血の原因となる可能性はあります。この二つの状況をきたす人はそれほど多くはありません。そのため、画一的な対策などはなく、個別に対応していく必要があるかと思われます。
つまり『一般的にはこのようにする』といった対応ができない事例となります。同じ状況の人でも不正出血を起こさない人もいます。実際に、僕の患者さんでも同様の方がいましたが、普通に妊娠された方もいました。さらに言えば、もし、この二つの状況が原因で妊娠にとってマイナスな状況が起こってしまった場合に、そのマイナスな状況を改善することはとても難しいと事例と言えます。
妊娠の可能性がないわけではもちろんありませんが、妊娠した場合には再度の癒着胎盤のリスクは高くなること、流早産のリスクも高くなる可能性はあると考えられます。このことは、ご質問にある出産時の児のリスクと、母体のリスクが高いということになります。
あまりいい話は書けませんでしたが、年齢的にもチャンスはある年齢ですので、あきらめずに頑張ってくださいね。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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