【Q&A】排卵誘発剤を使った人工授精について~井上善仁先生【医師監修】

こぶしさん(33歳)

明確な原因はなく、このまま自然排卵で人工授精を続けるのか、排卵誘発剤を使って人工授精をするか、体外受精に進むか迷っています。
排卵誘発剤を使って人工授精をする場合、卵子の質が良くなり着床につながりやすくなるといった効果はありますか?
私は体外受精に進みたいと考えていますが、夫は人工授精のまま続けてみようと言っています。人工授精の成功率は病院によって差が出ますか?

井上先生にお聞きしました。

【医師監修】井上 善仁 先生 昭和59年3月、九州大学医学部卒業。同年4月、九州大学医学部婦人科学産科学教室入局。平成20年4月、福岡大学病院准教授。平成28年7月に井上善レディースクリニックを開院。スタッフ一同が協力して良いクリニックを作っていき、一人でも多くの患者さんに満足していただけるよう努力している。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

まず月経周期が短いことについてですが卵巣予備能が低下するとFSHが上昇して卵胞発育が早くなり月経周期が短縮することがありますが、記載されているAMH値FSH値からはそのような状態は考えにくく、排卵までの期間が短いのはこぶしさんの個性みたいなものと捉えて良いと思います。卵子が未熟な段階で排卵することはありませんのでご心配要りません。

月経量が少ないことは内膜の菲薄化と関連していますが、現在人工授精で恐らく超音波による卵胞計測を毎月行われていると思いますので、主治医に内膜厚を確認されたらどうでしょうか?それで問題なければあまり気にされることはないと思います。

原因不明不妊のようですがその場合は自然周期より排卵誘発周期の方が妊娠率が高いと報告されています。排卵誘発が卵子の質を改善するかどうかについては定説はありませんが妊娠率向上を狙って排卵誘発を行う価値はあると思います。

今後の方針についてですが人工授精で妊娠する方のほとんどが6周期以内に妊娠しており、それ以上人工授精を継続しても新たに妊娠例が出てくることが少ないとの報告があり、あまり長期間持続することはお勧め出来ません。もしやるとしたら排卵誘発をして1〜2周期というところかと思います。

人工授精の妊娠率は1回当たり約7〜10%、体外受精で良好な胚が得られた場合の妊娠率はこぶしさんの年齢であれば35〜40%程度になると思います。人工授精の妊娠率が施設によって大きく異なることはありません。ご主人の希望もあり、あと1〜2周期排卵誘発下の人工授精、その後は体外受精へのstep upをお考え頂くのが良いと思います。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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