【Q&A】低刺激で胚盤胞にならない~林先生【医師監修】

まなさん(37歳)

今まで高刺激クリニックに通い、胚盤胞まで育って凍結、移植までできていました。しかし、現在のクリニックは低刺激で個数が少なく、胚盤胞までいきません。また、偶然なのかもしれませんが、どれも6日目の初期胚盤胞で発育停止になってしまいます。
採卵を繰り返せばいつかは胚盤胞凍結までたどり着けるでしょうか?それとも、今の病院の培養液が合わないなど、環境的要因があるのでしょうか?
採卵数もAMHが急激に低下したこともありなかなか採れず、移植までいけないことで焦りがあります。
あと複数回採卵しても同じように凍結できなければ、転院を考えた方がよいでしょうか?
また、1回目の採卵で凍結している卵2つを先に移植するべきでしょうか?(2個移植も検討しています)

ウィメンズクリニックふじみ野の林先生にお聞きしました。

【医師監修】ウィメンズクリニックふじみ野 林 直樹 先生
1983年、東京大学医学部卒業。埼玉医科大学総合医療 センター(川越市)などを経て、現職。「体外受精、顕微授精も高いクオリティで対応していますが、できる限り自然に近い不妊治療をご提供したいと考えています。 患者さんはそれぞれお悩みも違いますから、どんなこと でもまずご相談を。時にはご要望に沿えず、厳しいこと を申し上げるかもしれませんが、常に患者さんにとって ベストな治療法をご一緒に見出したいと思っています」。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

AMHが年齢からみても低値0.18となっており、これが最近の採卵で結果が良くない理由の一つと考えます。採卵開始計画時に胞状卵胞数をカウントして、1-2個ならこれまで通り低卵巣刺激がよいでしょう。

しかし3個以上ある場合には注射製剤による高刺激を行うという選択も出てきます。培養液が合わないということはないと考えます。培養液を医療機関独自に作成していることは現在ほぼなく、いずれかのメーカーから購入して使用していることがほとんどですが大した違いはありません。培養液を替えたらよくなるものではないと考えます。

最近の結果がよくないのは卵子数が少ないためであり、それに加え卵子の質の問題がある可能性があります。ただし低卵巣刺激しか行わない施設であるということであるとすると、1回の採卵で可能な限り多くの卵子数を獲得するという選択肢がありませんから、転院もその意味ではありうるかもしれません。

1回目の採卵で凍結している胚は2年前の胚(5日目と6日目の4BC胚)ですね。それぞれどれぐらいの着床率と説明を受けておられるのでしょうか。2個移植するメリットは1回で済ませられて節約になるということだけで、妊娠率が上がるわけではなく、多胎妊娠のリスクが上昇します。お一人小さいお子様がおられて双胎妊娠の管理(切迫早産など)のため長期入院などが必要な場合にご家庭のバックアップ体制は大丈夫でしょうか。それでも希望される場合には2個胚移植をお申し出になられればいかがでしょう。

CD138は慢性子宮内膜炎の検査ですが、子宮鏡検査で異常がなく、EMMA検査でラクトバシルス90%改善したということなので、実施する必要はないと考えます。また保険診療でも先進医療でもないため自費検査となりますが保険診療での胚移植はできなくなります。

お一人妊娠出産されており、また10番染色体40%モザイク胚移植を移植歴があるとのことです。PGT-Aを行った胚はこの1個だけでしょうか。化学流産を繰り返しているとしても、ご夫婦に染色体異常がある可能性はほとんどないと考えてよいと思います。
反復着床不全ということで先進医療を取り入れたいということですと、検査ではなく治療介入ですが、子宮内膜スクラッチやSEET法も候補にあがるでしょうか。移植計画を立てる際には再度主治医とご相談なさってください。

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