【Q&A】ERA検査はいつ受ける?~松原先生【医師監修】

しおりさん(38歳)

現在38歳です。第一子は自然妊娠しました。
第二子治療のため低刺激法のクリニックに通院中で、採卵4回、移植2回終わりました。
2024年3月に初めて採卵し、3個獲得、受精方法は体外受精です(1個は未受精、2個のうち1個を初期胚凍結、残り1個は胚盤胞到達せず)。初期胚(グレード5cell、G3)を移植しましたが陰性でした。
その後も2回採卵しますが、3個獲得で1個は体外受精で未受精、2個は顕微授精で異常受精し初期胚にも到達しませんでした。

2024年8月の採卵で2個獲得、うち1個が未成熟卵、残り1個が4AAの胚盤胞となりました(顕微授精。先進医療でスパームセパレーターとIMSIを実施)。
9月に移植。アシストハッチングとヒアルロン酸培養液を使用しましたが、陰性でした。全てタイムラプス培養です。
FSHの値が、生理3日目で10を超えることが多く、3日目からクロミッド1錠服用し、その1週間後からゴナール150の自己注射をしています。
「良好胚を移植しても着床しなかったので、他の原因も考えた方が良い。具体的には、着床の窓のズレを調べてはどうか」と主治医から言われました。

良好胚であってもPGT-Aはしていないので、この年齢だと染色体異常の割合が50%あるのではと考えています。
そのため、良好胚の移植を複数チャレンジすることで、妊娠につながるのかなと考えていますが、どのタイミングでERA検査を行うべきか悩んでいます。
今回3回目の移植に進む前に、ERA検査をするべきか、それとも3回目の移植結果が陰性だった場合にERA検査に進むべきか、ご意見伺いたいです。
採れる卵が少ないので、一日でも若いうちに採卵しておいた方がいいのでは?という気持ちもあります。

操レディスホスピタルの松原先生に伺いました。

操レディスホスピタル 松原 寛和 先生
名古屋市立大学卒業。操レディスホスピタルでは、生殖医療部門の統括部長として、主に不妊治療を担当。医学博士。日本産科婦人科学会専門医・指導医。日本生殖医学会 生殖医療専門医。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

●しおりさんの年齢やこれまでの治療データを見て、気になるところはありますか?

月経3日目にFSH値が10を超えるのが多いことが気になります。

●現在採卵を重ねている状況ですが、 ERA検査と採卵の優先順位についてどのような提案をされますか?

一般的には胚移植を2回以上施行して妊娠(着床)しない場合に、ERA検査をお勧めすることが多いです。今回、胚移植を2回実施しても妊娠されていないですので、次回採卵で受精卵を凍結保存できた後に、ERA検査を受けられることを提案いたします。

●しおりさんのように、良好胚を移植しても着床しないケースの対策法について教えてください。

①SEET法(受精卵が胚盤胞になるまでに培養に使用された培養液を、凍結胚移植の2~3日前に子宮内に注入する方法)を行うこと、
②ERA検査で胚移植と着床のタイミングが合っているかを調べて、胚移植の日を調整すること、
③EMMA/ALICE検査(子宮内に存在する乳酸菌の種類と割合、慢性子宮内膜炎を起こす細菌を調べる検査)の結果で子宮内環境を整えることなどが対策として考えられます。

*TRIO検査(ERA検査、EMMA/ALICE検査を同時に行います)も選択できます。

●しおりさんの卵の質や量を考慮した上で、 PGT-A検査を実施したほうがよいと思われますか?

上記の対策を行えば妊娠できる確率は上がると考えられます。また、PGT-A検査は自費診療で高額となります。ですので、保険診療でできる胚移植の回数を使い切っても妊娠されない場合に、PGT-A検査を検討されても良いかと思います。

●現在使用しているクロミッドやゴナール 150の治療効果と副作用について教えてください。

AMH値:0.4に対しては低刺激法が第一選択であり、クロミッドとゴナールF150をうまく使われていると思います。低刺激法ではクロミッドやゴナールF150の副作用の一つである卵巣過剰刺激症候群(卵巣腫大、腹水貯留などの症状)は起こりにくいと考えられます。

 

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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