【Q&A】移植6回陰性。原因は?~稲垣先生【医師監修】

けいさん(38歳)
胚移植をこれまでに6回行いましたが、1回稽留流産、5回は着床しませんでした。
いずれも5BB以上です。転院後、6BBの移植を行った際はSEET法も行いましたが陰性。
黄体ホルモンの開始時刻についてクリニックからの詳細な指定がありません(朝からという指示)
移植は17時からです。朝からの開始では早すぎるのではと思うのですが、いかがでしょうか?
前のクリニックでは11時の移植に対して朝から黄体ホルモンの補充開始しており、一度着床しています。

【医師監修】いながきレディースクリニック 稲垣 誠 先生 
1994 年、浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院、鹿児島市立病院、聖隷沼津病院などで産婦人科医の経験を重ね、2012 年、不妊治療専門施設「いながきレディースクリニック」を開院。「お一人ひとりに寄り添いながら、それぞれの患者さまに合った最適な治療を心がけています」

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

胚移植を繰り返しても着床しない原因として、どのような可能性が考えられますか?

当院では原則2回胚移植不成功の場合、ERA検査と子宮内フローラの検査をお勧めしています。これは胚移植のタイミングのミスマッチの有無を確認すすことと、子宮内の細菌的な環境の検証を行うものです。つまり、質問者様の不成功の原因として胚移植のタイミングがずれている可能性や子宮内フローラが乱れていることなどを予想します。それ以外にも抗リン脂質抗体症候群や甲状腺機能障害、血液凝固障害(XII因子欠乏など)等も検討の余地があるかもしれません。

SEET法の着床率について教えてください。

ウイメンズクリニックのHPによれば、40歳未満の単一融解胚移植におけるSEET法の臨床妊娠率は53.1%とあります。

けいさんの黄体ホルモンの開始時刻は早すぎると思われますか? また、適切な時間について教えてください。

ERA検査を実施するとおおむね黄体ホルモン開始から113時間(±3時間)程度で着床の窓が開く方が多いようです。相談者さまの胚移植スケジュールがよくわからないので評価が難しいのですが、いずれにしても早いか遅いかはERA検査を実施してから評価したほうが説得力があると思います。

けいさんのこれまでの胚移植の結果を考慮して、今後の不妊治療のアプローチについて先生でしたらどのような提案をされますか?

上述した通りですが、ERA検査や子宮内フローラ検査を検討されたらよろしいのではないでしょうか。ただし両者とも現時点で先進医療という扱いとなっており、すべての医療機関で実施できる検査ではありません。また、自費診療なので費用的負担も大きいこともややハードルが高いといえます。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。