【Q&A】卵管癒着があるかも。このままタイミング法で大丈夫?~高橋敬一先生【医師監修】

みかんさん(28歳)

手術を受けても卵管の癒着が元に戻る場合があると知り、受けるか、また受けるタイミングをどうするか聞きたいです。
先日、卵管造影検査を受けて、「造影剤の残りからこのままタイミングを続けて妊娠できなければ、もしかしたら卵管癒着かもしれない」と言われました。
調べると、卵管癒着は人によってまた癒着する場合があり、タイミング法で妊娠できる場合もある、とありました。
クリニックが出している術後妊娠経過のグラフでは一年ぐらいで半分が妊娠できるとの事でした。
低AMHでタイミング法をして、これから半年プラス手術、プラス術後1年で約2年後に妊娠できる可能性があるとして、
どんどんAMHは下がっていくのにこんなにのんびりしていて大丈夫なのかと不安になっています。排卵はちゃんとあり、生理不順はありません。

高橋敬一先生にお伺いしました。

【医師監修】高橋ウイメンズクリニック 高橋 敬一 先生
金沢大学医学部卒業。国立病院医療センター(現・国立国際医療研究センター)、虎の門病院を経て米国ワシントン大学に留学。1996年虎の門病院に復帰した後、1999年千葉市に不妊治療専門『高橋ウイメンズクリニック』を開院。2014年ベストドクター認定(ベストドクターズ社)。2022年10月に開院から累計で妊娠2万例を達成する。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

今後の治療方針にお悩みなのですね。実際には、そのかたが何を重視するかにより、治療方針は異なります。一番の問題点は、AMHが1.3と低く、卵巣機能が40~41歳相当と低下していることです。

最も重要なお勧めの方針は「何をするにもかなり急いで進めましょう」という方針です。

子宮卵管造影検査はあくまで影絵での判断になります。したがって、明確な診断はかなり困難なのです。もし明確な癒着があるならば、自然な形での妊娠を目指す方針ならば、すぐに腹腔鏡手術、という判断になります。どんな手術でも、手術が成功する保証はなく、手術後に再発する可能性はあります。

ひどい癒着の場合には、手術自体が不可能で、再癒着も高頻度ですぐにおこりますので、腹腔鏡で腹腔内を見てすぐに手術をあきらめる、こともあるのです。

したがって、癒着が再度おこる可能性があることを考慮してみなさま手術を受けるかどうかを決めているのです。

癒着が明確でなければ、タイミングを半年ほどうけて妊娠しなければ腹腔鏡手術という選択肢になりますが、今回の方針がそれなのでしょう。しかし、「急ぐ」ならば、人工授精や排卵誘発剤を併用してはいかがでしょうか。ただし、何周期おこなうかは、その方がどれほど急ぐかによります。

一方、自然妊娠にこだわらなければ、ご自身のご希望の時期に体外受精をすぐにおこなう、という方針が成り立ちます。

自然妊娠へのこだわりと、卵巣機能低下による急ぐことへのこだわり、の程度により方針が異なるのですね。

ご主人ともよく相談して、何を優先するかで決めてみてはいかがでしょうか。

 

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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