【Q&A】刺激法で胚盤胞到達率は変わるのか?~小川達之 先生【医師監修】

りんさん(39歳)

一人目を顕微授精で出産し、二人目希望です。一人目の時は凍結胚盤胞(いづれも良好胚)が6つあり、全て戻しましたが駄目でした。
今回、PPOS 法(FSH注射、トリガーはオビドレル使用)で採卵した8個のうち成熟卵7つであり、7つとも顕微授精で受精しましたが1つも胚盤胞
にならず凍結胚出来ませんでした。医師には「年齢により胚盤胞到達ができない」と説明されました。
●質問1
現在の刺激法で成熟卵に至り受精もしているため、卵胞刺激を変えても胚盤胞到達率は変わらないでしょうか?3年前はアンタゴニスト法で胚盤胞7つ凍結できたため、アンタゴニスト法に変更すれば違うのか知りたいです。今の病院では現在はアンタゴニスト法をあまり行っていないようです。
●質問2
一番の原因は加齢による卵子の質と思いますが、何か治療的に提案したほうが良いものはありますか?サプリ内服や生活を見直して採卵を繰り返すしかないでしょうか?

亀田IVFクリニック幕張の小川達之先生にお伺いしました。

【医師監修】亀田IVFクリニック幕張 小川達之 先生
2009年山梨大学医学部卒業。2016年より山梨大学医学部附属病院産婦人科にて不妊治療にあたる。2024年4月より亀田IVFクリニック幕張に入職。ひとりひとり個別の状況に対応し、患者様の立場に立った医療を提供したいという想いを持って日々、診療に従事。医学博士。日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医。日本生殖医療学会生殖医療専門医・指導医。日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください
胚盤胞に到達しなかった場合には別の刺激法に変更するのがセオリーの一つだと考えています。
当院ではアンタゴニスト法が大部分であることをホームページでも公表していますが、場合によってPPOS法、アゴニスト法、低刺激法なども適宜提案しています。1回目にアンタゴニスト法でうまくいかなかったけれど、2回目はPPOS法でうまくいった、などという例はいくらでもあります。100%誰にでも合う方法というのは存在しないので、どの方法が適切か、一つ目の方法で結果が得られなければより良い結果を求めて思い切った変更をするのは良い選択だと思います。もちろん、変更した場合により悪い結果になる可能性もあります。どの方法が合うのか、模索するしかありません。前回の状況によっては同じ刺激法をマイナーチェンジして繰り返すことで次こそ胚盤胞が得られるという可能性もあります。
また、以前に良い結果が得られた方法を再び実施してみるというのもセオリーの一つです。質問者さんの場合で言えば、年齢の違いはあれどアンタゴニスト法で得られた胚盤胞で出産まで辿り着いていますので、ぜひアンタゴニスト法を試してみたいところです。
加齢による卵子の質の低下に対して、既に多くのサプリメントをすでに摂取されているようですね。それに加えてできることを提案するのは難しいですが、他に検討できることはあります。例えば、精子の質を向上させる、子宮内膜症に対する治療を敢えて挟むことも考える、などです。特に2人目不妊の際には精子の状態が悪化していることが少なくないので、パートナーの生活習慣の見直しやサプリメント摂取、可能な環境であれば泌尿器科の生殖医療専門医の受診が検討できるといいなと思います。
他に、BMIが16.7とかなり痩せ型のようですので、BMIが18.5にあたる48.5kgを目指して増量を試みるのも良いと思います。
パートナーとよく相談して、納得のいく治療戦略をとってください。応援しています!
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。