3人目を希望して通院中。流産が続いていますが、自然妊娠する可能性は?
慶應義塾大学医学部卒。東京医科大学産婦人科学教授を経て、2023年5月より、Noah ART Clinic 武蔵小杉の統括医師に。生殖医療専門医・指導医。臨床遺伝専門医。
不育症が疑われる場合、子宮卵管造影検査を行う必要はありますか。
不育症が疑われる方に子宮卵管造影検査を行うとすれば、その目的は3つあると思います。
1つは子宮の形に奇形や異常があるかどうか。2つ目は子宮の中に癒着が起こっていないかどうか。出産後に癒着が起こることがあり、それが受精卵の着床や妊娠の維持を妨げることもあるからです。3つ目は、卵管に造影剤を通すと妊娠しやすくなるからという意図があります。この方はお産をされているので 1つ目の子宮形態異常というのは考えにくい。そうすると子宮内の癒着と卵管の通りに焦点を当てることに。これらは血液検査ではわからないので、採血の結果を待たずに行うこともあります。癒着を調べるのなら痛みの少ない子宮鏡による検査という選択肢も。どちらの検査も保険適用で受けられるので、経済的負担は少ないかと思います。
もし不育症と診断されて注射による治療を受けることになった場合、費用はどのくらいかかるのでしょうか。
おそらくヘパリンという注射薬を使った治療のことですね。胎盤の中で血が固まりやすくなると血流が悪くなって胎児に栄養が届きにくくなり、流産してしまうことがあります。この薬は血を固まりにくくする効果があるのですが、妊娠初期から36週くらいまで毎日注射して、費用も10万円程度かかってしまいます。不育症の検査結果にもよりますが、この治療を受けるか受けないかは、担当の先生とよく話し合って決めてはいかがでしょうか。
自然妊娠することは可能ですか。
不育症の原因はまだわかっていないこともたくさんあります。検査である抗体が陽性と出ても、本当にそれが原因なのかどうか確定できません。特に原因はないけれど流産しやすい人もいて、この方もそのような体質でたまたま続いてしまった可能性もあります。
先生から内科の受診をすすめられたということですが、それは検査で自己免疫疾患などを疑われたからでしょうか。それなら一度内科で詳しい検査をされたほうがいいかと思います。
2回流産した人が3回目に流産する確率は30~40%程度。通常の流産の確率より高めですが、逆に考えれば7割程度の人は自然で妊娠されるということ。のののさんはまだお若いので、検査や治療はせず、しばらく自己タイミングでトライするというのも選択肢の一つになるかと思います。