【Q&A】胎嚢は消える?~浅田先生【医師監修】

のんさん (39歳)
5回の顕微授精(3回目からピクシーイムジーあり)というのが回数が多くて不安、焦りがあります。
毎回10個以上の卵はとれているが、胚盤胞1つ出来上がる状態です。
1回目陰性、2回目枯死卵で初期流産、4回目4ABの良好胚盤胞を移植して陰性でかなり落ち込んでいます。
3回目の時に4BBを移植して判定日にHCG157あり喜んでいたら胎嚢確認後、流産になりました。胎嚢が消えてなくなっていたのですが、胎嚢が消えるとはどういうことなのでしょうか?

浅田先生に聞いてきました

【医師監修】浅田レディースクリニック 浅田義正 先生
名古屋大学医学部卒業。1993 年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。現在、愛知県の名古屋駅前、勝川、東京・品川にクリニックを開院。著書に『不妊治療を考えたら読む本』(講談社)など多数。

※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください

移植あたりの妊娠率を上げるのに有効な治療は、PGT-Aしかないと私は考えています。ただ、現在PGT-Aは保険診療となっておらず、自費で行わなければなりません。
卵子が10個以上採れるにも関わらず、胚盤胞が1個しかできないとのことですが、卵巣刺激が成熟卵子を採る適切な刺激になっているのでしょうか。未熟な状態で採卵しても受精卵は多くならず、胚盤胞到達率も悪くなってしまいます。
受精技術、その後の培養技術によっても胚盤胞到達率は変わります。卵巣刺激も含めて技術ですので、個々の施設によって異なります。結果が出なければ、施設をステップアップすることを早く考え、早く転院すべきだと思います。

受精卵ができたら多くは赤ちゃんまで育つ、というのは誤りです。
質問者さんの場合なら、39年前にできた細胞が今の卵子です。そのため老化しており、ほとんどの卵子は受精したとしても上手く育ちません。
39歳ならば、受精卵ができても6~7割は染色体異常があります。これは平均のため、多い人も少ない人もいます。多くの受精卵は途中までしか育ちません。39歳では30~40個の卵子があれば、赤ちゃんまで育つ受精卵が1つあるというのが平均です。赤ちゃんまで育つ受精卵といつ出会うかということです。できることは、より多くの受精卵を作ることです。

受精卵ができ、胚盤胞ができる施設でPGT-Aを行えば、赤ちゃんまで育つ受精卵と出会う時間を短縮して妊娠できると思います。保険診療では胚盤胞を作って、見た目のよいものから移植します。しかし形態評価の差はわずかなものです。
受精卵は遺伝子の発現や量の関係によって途中で成長が止まるもので、子宮側の条件が悪くて育たなくなるということではありません。

胎嚢が子宮内にできたら、出血で出てきてしまうことはあっても、超音波で見てなくなってしまうということはほとんど考えられません。
流産は原因ではなく、結果です。妊娠判定までに受精卵の成長が止まれば妊娠しないということになり、妊娠判定後に受精卵の成長が止まれば流産となると受け止めていただきたいと思います。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

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