【Q&A】ステップアップと転院について。~藤井雄太 先生【医師監修】

ToMoさん(36歳)

「あと3~4回程度は人工授精を重ねても良いかも」とのことでしたが、人工授精5回目も陰性との結果で、焦りや「どうして?」という気持ちでいっぱいです。
夫の精液結果は良いので、私が原因なのか?と思ってしまいます。
シリンジ法もできるようになったので、今週期も人工授精とシリンジ法で頑張りたいと思っていますが、一度体外受精のお話も聞きに行こうと夫と話しています。
質問①
私たちの場合、体外受精顕微授精かどちらが良いのでしょうか?
夫も精液検査については、3月と4月は飲み会が続いたのと、仕事が忙しかったので数値が悪かったかなという感じです(夫は飲めないので
、1杯ほどしかお酒を飲んでいなかったようですが、飲み会が連日あったのと仕事も朝早くから遅くまでしていました)
質問②
ネットを検索していたところ、体外受精の治療中に自然妊娠したという方や、体外受精と自然で両方妊娠しており、双子を授かったという方もいました。人工授精5回も陰性の結果ですが、体外受精にステップアップしても自然妊娠する可能性もあるのでしょうか?
また、体外受精治療中も人工授精の時と同様にシリンジ法を試しても良いのでしょうか?
質問③
現在、人工授精5回目も陰性の結果で、夫から「今のクリニックに通い続けるか」の話もありました。
みなさんはどのようなタイミングで転院を考えるのでしょうか?
私は今のクリニックは質問したい時にLINEで質問できることや、通院も近いため通いやすいので、良いかなと思っているのですが、なかな
か良い結果が出ないので、転院も考えるべきなのかも悩んでいます。
できるだけ自然に近い形で妊娠を希望しているのと、体外受精になると自己注射があるので、人工授精6回目以降ステップアップするか悩
んでいます。
ただ、1日でも早く赤ちゃんに出会いたいので、確率の高い治療に進むべきなのかなとも思っています。

藤井雄太先生に聞いてきました

親愛レディースクリニック 副院長・藤井雄太 先生
滋賀医科大学卒業。兵庫県内の市民病院、大学病院、リプロダクションクリニック大阪・東京を経て親愛レディースクリニック副院長就任。日本生殖医学会生殖医療専門医。「同じような悩み、同じ病気でも同じ治療が適切とは限りません。ひとり一人の悩みに寄り添い、その方に最も適切な医療を提供することを心がけています」
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。
焦りや「どうして?」という気持ちになってしまうことは、体外受精経験者全ての方が経験することだと思います。ただ、前回ご返信したように、現状は「何も問題がない」状態ではなく、「特定できる明確な不妊理由を指摘できない原因不明不妊症」の状態といえます。
どこに、誰に原因があるかを考えても解明できませんし、2人合わせて妊娠していない原因不明不妊症に、2人で向き合っていこうと考えるべきです。
「あと3~4回程度の人工授精を重ねても良いかも」というのは、おふたりの気持ちを尊重してのことで、すぐにでも体外受精を推奨する時点だと思います。

■質問①への回答

当日の精液所見によって変わりますし、体外受精・顕微授精の推奨ライン(半々にすることもある)もクリニックによっても違うためなんともいえません。

■質問②への回答

自然周期なのか低刺激なのか中刺激以上の採卵なのかによります。自然周期なら発育卵胞は1-2個なので余分な排卵はないはずですので、自然妊娠しません。低刺激で3-5個育って、採卵時には実は1個排卵していて、それで自然妊娠するというケースはあるかもしれませんが、基本的には稀ですのでネットの情報は信じない方がよいです。
中刺激以上の場合は、妊娠すると超重症OHSSになるため、採卵周期中は避妊、卵胞が一定以上まで育ったら性交渉禁止にするクリニックがほとんどだと思います。いずれにしてもクリニックの治療方針によります。

■質問③への回答

人工授精で妊娠するかと体外受精で妊娠するかは別問題です。
仮に神様があなたは人工授精では妊娠しない状況だと知っていたとするならば、誰が治療しようが人工授精では妊娠できないという事実はどうしようもないため。
転院はトータルとして、そのクリニックが合わない、このまま通院しても妊娠できないのでは?と思ったタイミングではないでしょうか。LINEで相談できるシステムはとても良いと思う一方で、ここに投稿されている時点で日々の診察では質問事項を解決できていないとも思います…。
体外受精でも自己注射をゼロ・ほぼゼロですることも可能ですので、ご相談されてみると良いと思います。
>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。