保険での移植は残り4回。
その範囲でなんとか妊娠したいです!
不妊原因は不明のようですが、どのような原因が考えられますか。
北村先生●いろいろ考えられますが、1つは染色体異常です。一度、心拍確認後に流産していますよね。りささんは31歳と若いですが、少なからず受精卵の染色体に異常があったのではないかと考えられます。その他、免疫のトラブルや着床不全などの可能性もあります。ただ原因を特定するよりも、りささんが保険診療内で妊娠することを望んでいるので、その可能性を高めていくことが大切だと思います。
子宮内膜が7~ 8mmとのことですが、妊娠するにはどのくらいの厚さが必要でしょうか。
北村先生● 子宮内膜の厚さが7 ~8mmは一応基準値を超えています。これが7mmを下回ると妊娠率が下がってしまうので、運動、体を温める、ビタミンE + C の摂取などで血流を良くしたり、ホルモン補充などの対策を講じたほうがいいでしょう。ただ2人目不妊の方で子宮内膜が薄くても正数胚を移植すると妊娠される方もいらっしゃいます。そういったことから妊娠するには子宮内膜の厚さよりも受精卵の質がポイントだと考えられます。
今、残っている受精卵のグレードは、先生からみていかがでしょうか。
北村先生●厳しい見方をすると質としては芳しくないでしょう。できればグレード4~5は欲しいところです。ただ、移植しないとわからないこともあります。当院では、3AA などグレード3の胚盤胞については前日融解し、培養液に入れておきます。そうすることで翌日の移植までに成長してくれ、着床、妊娠する確率が上がります。
今後、どのような治療を?
北村先生●着床不全は予め調べられるので、検査を受けてみてください。ある程度までは保険診療内で検査をすることができます。そのほか自費ですが、保険と併用できる先進医療で、子宮内の細菌環境が妊娠・出産に適しているかを調べる子宮内フローラ検査やEMMA、着床を阻む慢性子宮内膜炎を調べるALICE などの検査も有効です。
また今ある受精卵で妊娠率を高めるなら、同じく先進医療で予め子宮内に培養液をいれておくシート法や、着床前に内膜に傷をつけることで着床を促すスクラッチ法もいいでしょう。
受精卵のグレードや残りの移植回数を考えるとある程度、妊娠は期待できるでしょう。主治医と相談のうえ、「前日融解をしてから移植をする」など対策をたてて治療をすすめてみてください。