【Q&A】子宮体癌と不妊治療~髙木先生【医師監修】

あーちゃんさん(34歳)

1)内膜掻爬やTCRなど手術の影響で、内膜が厚くならないこと
不妊治療の担当医師には「薬で内膜を厚くするのは限度があり_私の場合は頑張っても5mm程が限界」と言われました。着床に必要と言われる最低7mmのラインには、薬を服用続けても破綻出血してしまうためたどり着けないとの判断で、移植しても一向に着床してくれません。今は次の治療に向けて先進医療のPRP療法(多血小板血漿)を勧められていますが、他の方法で内膜を育てる方法はもうないのでしょうか。
着床を助けるビタミンDや、内膜を育てるマカ(アルギニン)をサプリで服用続けていますが、効果を実感できません。

2)子宮体癌の検査結果次第で、不妊治療の病院の転院を考えています。
子宮体癌の主治医より「生殖医学と生殖内分泌の専門医のいる病院を紹介する」とお話持ちかけて頂きました。(その病院は大学病院で、その中に不妊治療の科があります)ただ、住んでいる場所より、その病院は片道50kmあり正直仕事との両立を考えると厳しいと思っています。でも既に胚移植3回陰性が続き、保険適応残り回数があと3回しかないことを考えると、病院が遠かろうが他の理由で迷おうが、より近道になれる選択をしたいとも思っています。
不妊治療の病院を選ぶ際、私のように婦人科疾患の既往歴があり、かつ、子宮内膜が少なくとも手術でダメージを受けている場合の患者はいくら不妊治療専門の病院でも少し特殊な患者のため専門医師でもあまり症例数もいないのでしょうか。その点、大学病院などで不妊治療を行なっている施設では私のような婦人科既往歴がある患者さんや、特殊な状況の患者さんでも多く訪れていたり、症例数など多かったりするのでしょうか。
「生殖医学は医師の経験や、症例数がより大事だ」と主治医には言われ、主治医の紹介してくれる大学病院へ転院するか、不妊治療専門の有名な病院に転院するか迷っています。もう来月で35歳を迎え年齢的に焦る気持ちと、子宮体癌を背景に抱えながらでとても追い詰められています。自分の生活を犠牲にしてでも、なるべく近道で妊娠出産ができる選択をしたいと思っています。どうかお力添え、ご回答お願い致します。

津田沼IVFクリニックの高木先生に伺いました。

津田沼IVFクリニック 院長 髙木 亜由美 先生
千葉大学医学部附属病院、千葉メディカルセンターなどで不妊治療に従事。特に千葉大学医学部附属病院時代に、専門の生殖医療や内分泌医療のほか、不妊の患者様の腹腔鏡手術や子宮鏡手術等も数多く経験する。その後、2024年9月より津田沼IVFクリニックの院長に就任。それぞれの女性にあったきめ細かい医療を目指す。
※お寄せいただいた質問への回答は、医師のご厚意によりお返事いただいているものです。また、質問者から寄せられた限りある情報の中でご回答いただいている為、実際のケースを完全に把握できておりません。従って、正確な回答が必要な場合は、実際の問診等が必要となることをご理解ください。

●婦人科疾患(子宮体癌)の既往歴がある患者さんは、どのように不妊治療を進めていけばよいでしょうか?また、注意点はありますか?

とてもご心配されていることと思います。病状の詳細を把握できていないので回答するのが難しいのですが、体癌の主治医から「生殖医学と生殖内分泌の専門医のいる病院を紹介する」と言われているとおり、大学病院など、がん・生殖医療を行っている病院を受診することをお勧めしたいと思います。同様の患者さんが集まっており、治療や原疾患の管理も多くされているので安心です。
私も大学病院時代に同様の患者様を診療し、苦労はしたけど無事に赤ちゃんを授かった患者様は何人かいらっしゃいました。
ただ、とても遠くて、通院が難しいのですね。大学病院と不妊専門のクリニックでは、それぞれ、できることに違いもあるのも事実です。クリニックならではできることもあります。
もし、原疾患がおちついていて、通常の妊娠許可、不妊治療をおこなってよいという状況であるとして、以下を回答したいと思います。エストラーナテープやジュリナの服用を続けても内膜が厚くならないのは、内膜掻爬やTCRなど手術が影響していると考えられますか?

考えられると思います。あるところより内膜は厚くならないかもしれません。
現時点で勧められているPRP療法しか内膜を厚くする方法はないといえるでしょうか?
内膜を期待値ほど厚くするのは難しいかもしれませんが、ホルモン剤に加えて、血流をよくするための投薬や漢方、サプリはいくつか提案できると思います。PRPやPFCをするのも考えられます。

●胚移植を3回実施し、すべて陰性だったそうです。サプリ等の服用を続けているそうですが、着床率を高めるためにはどのような方法を試してみればよいでしょうか?

着床に関しては内膜厚だけでなく、対応できる面もあります。内膜環境、移植の方法や時期の検討、子宮の攣縮を抑える、免疫バランスや凝固異常など、着床に関連するいくつかの検査をしてみるのも良いと思います。●年齢の焦りや転院の迷いもあるようです。「なるべく近道で妊娠出産できる」治療の選択や向き合い方についてアドバイスをお願いします。

ご自身のライフスタイルもあると思うのですが、紹介された病院に一度行ってみていろいろ話を聞き、納得できる選択をするのが良いと思います。
原疾患が落ち着いているならば、自分にあった治療ができる病院を選択してみましょう。ご年齢的には有利ですし、うまくいくと信じています。
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全記事、不妊治療専門医による医師監修

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