みかさん(43歳)
自費診療をやってみましたが、かなりの出費でまたこの検査をやるにも負担が大きいので断念してました。
ステップダウンして保険でできる人工受精をやる方もいるとの記事を見て、やってみようとなりましたが、確率は下がるのと、女性が高齢だと意味がないとの事も書かれており、またクリニックにはまだ行けていないのですが、やってみる価値はあるのか悩んでます。
藤本先生に聞いてきました。

【医師監修】さっぽろARTクリニックn24 藤本 尚先生
日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医、臨床細胞学会細胞診専門医。札幌医科大学産婦人科、神谷レディースクリニック 副院長を経て、医療法人社団 さっぽろARTクリニック開院し理事長に就任。2019年5月 医療法人社団 さっぽろARTクリニックn24開院。
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PGT-Aで移植可能胚を得られる確率は年齢により異なります。年齢が若い人ほど移植可能胚を得られる確率が高くなり、年齢が高くなるほどその確率は下がります。
これはすなわちそのまま年齢が高くなるほど妊娠率(生産率) が下がるという部分と直結するもので原因は年齢が高くなるほど染色体異常の頻度が増 えるからです。これは年齢による変化なのでこの部分を改善修正することはできま せん。
PGT-Aに関する論文は世界中から多数報告されていますが、43歳の場合にはPGT- Aを施行して正常染色体と判断される胚は10個に1個以下の確立となります。そのため2個の胚盤胞をPGT- Aに提出した場合には移植できない(正常染色体と判断される胚が得られない) 可能性のほうが高いと言えます。
ステップダウンをする方は実際にはいらっしゃいます。一般不妊治療にあたるタイミング/
そのため、年齢制限で保険診療での体外受精ができなくなった方、規定の回数を超えてしまった方などで条件を満たす方については可能性は下がることになりますが、 治療を断念しないでできることを、できる範囲で頑張るという点でステップダウンする方も一定数いら っしゃいます。
これについては考え方次第になりますが、体外受精でやっても成功しなかったのにタイミング/ 人工授精やっても意味ないじゃないか?と考える方もいますし、何もしないとゼロになってしまうのでできることをしよう! という考えでステップダウンしたうえで治療を継続する方もいるという感じです 。
そこはご夫婦でしっかり話しあうことが必要になるかもしれません 。

タイミング/人工授精を行うためには最低条件として①卵管が通っていること、②ある程度の数の精子がいること、この二つが最低条件となるためこれを満たしていない場合にはステップダウンを選択肢として行うことができなくなります。
逆の言い方をすれば二つの条件をクリアしていれば妊娠できる可能性はたとえ低くてもゼロではありません、 ということができます。そのあたりをどのようにとらえる(考える)のか? でステップダウンをするのか?しないのか?が決まるものと思われます。
自費診療での体外受精(PGT-A含む)
一度体外受精をするとステップダウンの治療はしてはいけないよう に感じる方もいますが、そんなことはありません。どの年齢の方についても言えますが、 あまり全力で頑張りすぎると疲れてしまいます。車もそうですが、 ずっとアクセル全開で走っているとオーバーヒートを起こしてしま います。アクセル全開のとき時にはいいですが、時々アクセルを緩めたり、 休憩したりも必要です。
そういう意味では、 その時点で自分にできることを自分にできる範囲で頑張るというスタンスで、 ステップダウンの治療は選択肢の一つとして考えてほしいと思いま す。