海外配信で気持ちの切り替えを。
ビジョンは我が子に世界を見せる母になる。
YouTuberとして人気のお二人が不妊治療を開始したのは、結婚して一年目のことでした。
治療プロセスを自身のチャンネルで発信することで、同じ境遇にある人たちを励ますことができたらと語ります。
人気配信者になる前に出会った二人
人気YouTuber として世界中を旅する日々を送るなかで自然妊娠すると思っていたケイさんですが、一年経過しても妊娠の気配がなかったので二人で話し合い不妊治療を開始することにします。
「私は昔からテレビ番組の『大家族スペシャル』を見るのが大好きで、当時からからたくさん子どもが欲しいと思っていました。でも結婚して一年経ってもなかなか妊娠しないので、年齢的に30代ということもあり、不妊治療をスタートしました」
根っからの子ども好きなケイさんは仕事でも世界中を飛び回り健康そのものだったので、まさか自分たちが不妊治療を経験するとは思っていなかったそう。しかし自然妊娠しない現実にも、すぐに二人で前向きに対処していくことにしました。
クリニック選びは直感で決定!
「クリニックを決めるときは紹介とかではなくGoog leMAPを見ながら、大阪の自宅から2、3駅以内で通いやすい、施設がきれいなところに直感で決めました」
クリニックでの二人の検査結果は「異常なし」。タイミング法や人工授精などのプロセスを経て、早々に体外受精を決意します。
ケイさんのYou Tube には、不妊治療の経過が丁寧に綴られています。
「人工授精を2回して、すぐに体外受精に切り替えました。痛くて怖かった採卵手術も、12 個採卵できて5個が受精卵になってくれました。クリニックの方針で受精卵は超高速凍結法ですべて凍結しています。
受精卵のグレードは思ったより低くA が一つもなかったことは気になりましたが、昨年12月に4CBの胚盤胞を移植しました。
正直一回で妊娠する自信があっただけに、陰性だったことには本当にがっかりしましたね…。お金も時間もかけて何回も病院に通って、薬も何種類も毎日欠かさず忘れずに飲んでいてもこんな結果なのかって…。私、妊娠できるのかなという、なんかこう気持ち的にドンって落とされた気がしました」
なかなか思い通りの結果が出ない現実に落ち込むケイさんの気持ちの切り替え方法は、自身のチャンネルで海外ロードトリップを一人で成し遂げたことでした。
同じ人気You Tuber でもあるリョースケさんは、ケイさんの治療に当事者意識で寄り添い二人三脚で治療を受けるマインドをもつ理想的なパートナー。そんな二人が治療していて感じたことは、不妊治療クリニック特有の雰囲気だったそう。
不妊は病気ではないが治療の負担は大きい
「不妊治療自体は別に病気でもないし恥ずかしいことでもまったくないと私は思っているので、クリニックにいる患者さんたちの目も合わせちゃいけないような独特の雰囲気に最初は驚きました。私は職業柄、通院するための休みも自分次第で確保できるんですけど、先生はこちらの予定が空いていることを前提に診察日を決めちゃうんです。もし私が時間的に自由な仕事じゃなく旦那さんとも共働きで、限られた時間から診察日を捻出して通っているとしたら、そういった対応は結構キツイだろうなと感じました」
夫のリョースケさんは、不妊治療をしていくなかで、男性よりも女性側の負担が大きいことを感じたといいます。
「女性と男性って根本的に違うじゃないですか? 特に子どもを産むってことに関して男ができることの少なさとか無力さを痛感します。「子どもが欲しい」という思いの強さは一緒かもしれないけど、身体的なものとか精神的な部分の負担ってやっぱり女性側のほうが何十倍も大きいのだと感じた部分が多々ありました。
男性が思っている以上に、女性側は倍以上のストレスをかかえながら取り組んでいることを想像して、言葉を選びながら会話をしようと心がけています」
不妊治療の保険適用が治療を後押し
リョースケさんの強い愛情に支えられながら、二人三脚で進めている不妊治療。現在はお二人がプロデュースする飲食店を出店する沖縄への移住を済ませて、現地クリニックへの転院を予定しているといいます。
現在のビジョンは治療がうまくいって女の子を授かり、子どもにメロメロになるリョースケさんの姿を見ることだと話すケイさん。
「子ども連れで海外へ行って子育てしたいですね。キャンピングカーを借りてわいわい言いながら、パパの運転でいろんな国や世界を見せてあげたいと思っています」
2022年4月からの厚生労働省による不妊治療の保険適用も、治療をステップアップするうえで大きな支えになったと話すリョースケさん。
「不妊治療の金銭的負担は大きいですよね。そういう意味でも保険適用は、不妊治療に踏み出すことを迷っているカップルを後押しする制度だとは思っているので、あまり重く考えすぎずに活用したほうがいいと思います」
二人の前向きでポジティブ発信に背中を押される人たちが、これから多く出てくるかもしれません。