悩んで過ごすか、明るく過ごすか、 不妊治療中の過ごし方は、 自分しだい。だから、楽天的に!
もしも赤ちゃんを授からなかったとしても、人生はこれからも続きます。 「子どもがいなくても、幸せ!」と思える人生、生き方だってあるのです。
まずは、自分の人生を楽しむこと! “生き甲斐”を見出してみませんか?
“やり甲斐のある仕事”ママになってもしたい!
「不妊治療に専念しよう!」と心 に決め、きっぱりと仕事を辞めた ミルクさん( 31 歳)でしたが、そ の喪失感は想像をはるかに上回る ものでした。憧れていた職業、や り甲斐もあり、これまで真摯に取 り組んできただけに、「育児が一 段落したらまた職場に戻りたい」 との気持ちが日増しに強くなり、 それと同時に「その日はいつ来る の?」という漠然とした不安が。
「赤ちゃんを授からない限り、職 場復帰は見込めない」けれど、い つ妊娠するか、妊娠できるかさえ も定かではありません。仕事では きっちりと年間プランを立て、着 実に実行に移してきたミルクさんにとっては、先の見えない不妊治 療はストレスそのものでした。
「だから、決めたのです。不妊治 療は 1 年間だけにしようと。また、 治療がストレスにならないよう に、妊活中は思い切りわがままに 振る舞い、妊活期間を大いに楽し み、有効に過ごそう! と」
元キャリアウーマン だから、考えた“効率”
ミルクさんがご結婚されたのは 2014年 11 月。お相手は職場の 先輩のご友人で、知り合ったのは 6年ほど前。その後も食事などを ご一緒するお仲間の一人としての お付き合いがあり、それがいつし か恋愛に発展。すでに気心が知れ た仲だったため、真剣交際を始め
て半年でのスピード婚でした。挙 式は、さらにその 1 年後。
「私の仕事のスケジュールを優先 してもらい、挙式は先延ばしにし ました。その代わり、挙式の段取 りなどはすべて私が綿密に仕切り ました。プランを立てるのは、得 意なんですよ」と澄んだ声で笑う ミルクさんは、ご年齢よりずっと 若く見える可愛らしい女性。おっ とりした印象ですが、「性格的に は、かなりせっかちですよ」とご 本人の弁。その当時は、仕事のス ケジュールに追われる毎日で、就 寝は 23 時過ぎ、起床は 5 時。土日 も段取りよくスケジュールがこな せるよう下準備。何事においても 仕事の“効率”を優先させ、プラ イベートは後回しでした。
ところが挙式を済ませた途端、じわりと「赤ちゃんが欲しい」と いう感情が芽生えます。しばらく は排卵検査薬などを使用してタイ ミング療法を試みましたが、良い 結果は得られず、不妊治療に踏み 切ることに決めました。
わがままに! 贅沢に! 妊活中の“特別な 1 年間”
「仕事と不妊治療の同時進行で は、どちらも中途半端になってし まうに違いない」と、“効率”を 重視して仕事を辞め、不妊治療を 優先させたミルクさんでしたが、 わずか 1 週間ほどで激しく後悔し ました。ミルクさんにとって、そ れほどに仕事は重要な存在だった のだと思い知らされました。
「子どもがいる人生もきっと楽しいはず。でも、私には仕事という 生き甲斐もある」。そう考えた時、 ミルクさんはどちらかを選択する のではなく、その代わりに期限を 決めました。「 1 年間、不妊治療 を頑張ろう。それでダメだったら、 また仕事を頑張ろう」と。
そして、「妊活に専念する 1 年 間は、特別な 1 年間にする!」 と決めたのです。そこでまず取 り組んだのが、妊娠においてもっ とも悪影響となる“ストレス” の排除。やりたくない! と思 うものを書き出してみると、な んとその筆頭は家事でした。
「夫は本当に優しい人で、だから こそ言えたのですが、“ 1 年間だ け怠けさせてください”とお願い しました。快く引き受けてくれた ことを、とても感謝しています」と、ミルクさん。
「もちろん、完 璧は求めません。食事も、有機野 菜や添加物のないものを取り寄せ ていたので、シンプルな調理法で も十分においしい。通院で大宮に 行く際には、ウォーキングがてら デパ地下を歩きまわり、夫好みの ちょっぴり贅沢なお惣菜を奮発し て買うことも。お互いに、無理を しない範囲でやろうね、と」。
家事をしなくてよくなった分、 時間も贅沢に使いました。「大学 に通って、過去の論文を読んだ り、自分でも書いたり。伝統芸 能に触れたり、英語を始め、ス ペイン語や韓国語の学習もしま した。女友達を誘って、ランチ 女子会などもしましたよ。SN Sなどで繋がっている気になっ ていましたが、会って話すのと はやはり違うと実感。それ以来、 インターネットなどで情報を得 るのはやめました」とも。
また、「妊活中こそ、自分自身を見つめる時間」ととらえ、時 間を有効活用している! と思 い、「無駄に時間を費やしてい るわけではない」と、自身を納 得させたのです。
通うのが“楽しい” と思える、病院選び
ミルクさんが選んだ不妊治療 クリニックは、小誌でもお馴染 みのかしわざき産婦人科でした。
通いやすい。地元で評判がい い。産科も兼任している、とい う条件を満たしたからでした が、ミルクさんは通うほどに、 「この病院を選んでよかった!」 と感じたそう。「先生方はもち ろん、看護師さんや培養士さん、 スタッフの方すべてがとにかく 親切。私の、もしかしたらくだ らないかもしれない質問にも丁 寧に答えてくださり、嫌な顔一 つなさらないのです。また、予約制だと“予約したから”と悪天 候でも無理をしていらっしゃる 患者さんがいては気の毒、とあえ て予約制ではないので、気になる ことがあればすぐ行かれるのも ありがたかった。私は 2 週に 1 回 の通院の時でも、先生やスタッフ の方とお話がしたくて毎週通っ ていました(笑)」。
実はミルクさん、人工授精直後 に食中毒に罹りました。救急病院 すべてから断られ、結局はかしわ ざき産婦人科で治療を受けたご経 験も。「妊婦かもしれないと思っ たら、流産や胎児の障害なども考 え、治療を避けたい病院も多いの でしょう。地域に根差した病院に 通院していたおかげで助かりまし た」と、振り返ります。
自然に近い妊娠を目指すかしわ ざき産婦人科ですが、“効率”重 視のミルクさんに急かされ、一気 に体外受精へ。その結果、めでた く妊娠! ミルクさんは、今年の晩夏にはママになる予定です。治 療を始めてちょうど 1 年。「まだ 凍結胚が 8 個あるので、計画を 練って、仕事への支障を最小限に 抑えながら、何人か産みたいと思 います」とミルクさんは言います。
さらに「でも、もし授からなかっ たしとしても、私にはやり甲斐の ある仕事があります。それは、そ れで幸せ。子どもをもつ以外にも 幸せはあるのだと、奇しくも妊活 中に思い知ったのです」とも。