つらい経験を経て出産

転院後、移植4回で妊娠するも流産…。つらい経験を経て出産。

「妊娠判定の結果を待つのがつらかった」 流産のショックから、夫が治療に付き添うように。 待つストレスを二人で共有し、絆を深めました 。

30 歳を超え、“卵子の老化”を知って結婚後すぐ治療へ。

治療すれば、すぐ妊娠できると考えていたものの結果が出ず、 体外受精へのステップアップを機に転院。

通院も夫婦一緒。夫婦で歩んだ不妊治療のストーリー。

卵子の老化が気がかりで すぐに治療をスタート

広島市にお住まいの Y さん ご夫婦は3年ほどおつきあい の後、 35 歳で結婚。

「結婚を意識している時に、 ちょうど NHK で卵子の老化 について扱った番組を見まし た。 30 歳を超えていることも あって、妊娠のことを考えると できるだけ早く結婚したほうが …と思って、彼にどちらかとい うと私が結婚を促した感じで す」と Y さん。

ハネムーン後には、友人から 教えてもらった排卵検査薬で調 べながら、タイミングをとって みたものの妊娠に至らず。

「実は、自分の排卵のリズムに合わせればすぐに妊娠でき ると思っていました」

“卵子の老化”のことが気 になり、行動を起こすには早 いほうがいいと県の不妊治療 の助成金が対象になるクリ ニックを調べて、すぐ問い合 わせしました。電話をすると 「今日でも OK」と言われた ので、すぐ出かけたそうです。 検査結果は問題なく、タイミ ング法を6~7回、人工授精 を 10 回ほど試みましたが妊娠 しませんでした。

約 1 年半治療をした Y さん ですが、先生が自分の話をあま り聞いてくれなかったことも あって、コミュニケーションが うまくいかず、先生への不信感 と治療への不安が募ってきま
した。そして、その後の治療を 受けることをやめて転院する ことに決めました。

つらい流産をきっかけに 夫が通院に同行。心の支えに

転院先については、インター ネットの口コミや成功率を参 考に、会社からも通院しやす い絹谷産婦人科を選びました。

「治療を体外受精へとステッ プアップするにあたり、これ までと比べ期間も費用もかさ むので、治療の成功率なども 調べたりと、クリニック選び は慎重に行いました」

治療を進めるにあたり、ク リニックでの夫婦で初診前説 明会や体外受精説明会を受け、準備しました。しかし風疹の抗 体が低かったため、 2 カ月間 治療を待つことになりました。

採卵後、二度初期胚で移植 するも妊娠せず。3カ月後に 胚盤胞移植も行いましたが、 いい結果にはなりませんでし た。その2カ月後に行った二 段階胚移植によって2個卵を 戻すことができ、やっと妊娠 することができました。

「私の AMH 値が少し低いく らいで主人も問題なかったで すし、当初は採卵できていた こともあって、体外受精をす ればすぐ妊娠できるものだと 思っていました」

妊娠するまでの期間、普段 通りに過ごしていいと言われ ていた Y さんは仕事も通常通 りで、自転車で重い荷物を積んで走り回ったりしていたそ う。またご夫婦ともに温泉巡 りが趣味だったこともあり、 夜中に出発するなどご夫婦に とってはいつも通りの日常を 送られていたのだとか。

「なかなか妊娠できないの は、こういった行動や生活が いけなかったのだろうと考え て、残業を控えたり、移植時 は会社を休むなど、できるだ け体に負担をかけないように 心がけるようにしました」

そういった努力もあり妊娠 したのですが、残念なこと に流産となりました。胎嚢ま で確認できていたため、とて もショックだったそう。流産 の結果を聞いた時、看護師長 に涙が枯れるまで側に居ても らったことで、気持ちを落ち着けることができ、仕事に戻 ることができたのだとか。

「ここまで検査をはじめ、流産 に至るまでの結果は一人で聞い て受け止めていました。結果を 一人で待つ時間が心細くもあ り、とても不安でした」と Y さ ん。ご主人にこの時の心情を聞 くと「LINE で連絡を取り 合ってはいたのですが、その場 に一緒にいなかったこともあっ て、妻との温度差を感じていま した。そのなかでの流産だった ので、その後の治療はできるだ け一緒に受診しようと決めまし た」とのこと。それから夫婦で 不妊治療を頑張っていこうと心 を一つにしました。

その後、採卵して育てた胚 盤胞4個は先生にも「いい状 態なんじゃない」と言われま した。 1 個ずつ戻した卵は2 回ともだめでしたが、3回目 に残りの2個を戻したうちの 一つが着床しました。しかし 先生には、前回の流産した時 より HCGの数値が低いと言 われ、半信半疑で妊娠を喜ん だという感じだったそう。「あ まり期待すると、だめだった 時が怖いので…」と Y さん。

前回の妊娠の時にはイン ターネットで調べたり、体験 者のブログを読み漁ったこと で余計に不安になったことも あり、今回はそういった行動 はしなかったのだとか。情報 を得るのは大切だけど、情報 に踊らされないことも大事だ と夫婦で話したそうです。

また、妊娠するために“で きることはトライしてみよ う”という気持ちで鍼治療を 行ったり、葉酸や亜鉛、ビタ ミン類などのサプリメントを 摂取するほか、近くの神社へ のお詣りも欠かさなかったそ うです。

「もう心がけの問題だと思っ て、自分たちのことだけでな く、親戚や友人など、皆さん が“幸せになりますように” と祈っていました」とご主人。

妊娠期間はできるだけ無理 はせず、おかげで体調も順調、 里帰りして出産しました。駆 けつけたご主人も出産に立ち 会うことができ、分娩室に入 室後1時間ほどで無事に男の 子が生まれました。

「約 3 年という長い間、不妊 治療をしていたのでわが子を 抱いた時は人一倍喜びがこみ あげました」

治療への理解があった職場 寄り添ってくれた夫に感謝

治療をはじめるあたり、「こ れから妊娠し、出産して子育 てまでを見据え、自分たちの 年齢を逆算して“早いほうが いい”と考えて行動に移しま した」とご主人。

「クリニックに一緒に行くよ うになって、不妊治療の大変 さを改めて知りました。いろ いろな過程で結果を聞かない といけないのですが、受験の 合格発表よりもつらい重圧を毎回感じていました。あちこ ち出かけるたびにお守りを授 けていただき、たくさんのお 守りを二人で持って受診して いました。またお腹にシール (エストラーナテープⓇ)を 貼るのですが、これに“待っ てるよ”とメッセージを書く のが私の役割でした」と優し い笑顔で話されました。特に 妊娠判定日にご主人と一緒に 病院に行けたことが Y さんに とって心強かったのだとか。

「主人が自営業で、わりと時間 の融通が利くこともあって通院 も一緒でしたし、食事などの家 事も手伝ってくれたりして、本 当に感謝しています」と Y さん。

また、正社員で働く Y さんに とって職場の理解も欠かせな かったよう。治療のことは職場 の女性全員と男性は上司にのみ 報告。上司には不妊治療の大変 さを説明して、採卵と移植日は シフトを調整してもらったり、 出社前に注射に通ったり、女性 陣には治療の悩みを相談したり して、治療と仕事を両立するこ とができました。

Yさん夫婦のご両親はお孫さ んの誕生をとても喜ばれている ので、毎日動画や写真を送り、 様子を見せているそう。1歳の 誕生日に向け、準備が楽しくて たまらない様子なのだとか。

現在Yさんは、育休中。第 二子出産に向け、育休中に治 療を進めたいと考え、産後8 カ月で不妊治療を再開したば かりです。

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

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