もっと早く、我が子を抱けたかもしれない
長い間、ずっと生理不順だとわかっていたのに、 「若いから」「元気だから」と疑いもしなかった。
だから今、「放っておかないで!」と伝えたい。
20 代で結婚。仕事も楽しく、充実した毎日。
でも、なかなか子宝に恵まれず、やっと気づいた。 「自分の体のこと、何も気遣っていなかった」と。
マリコさんの反省には、女性の誰もがハッとするはず。」
生理不順はあるけれど、 まさか、私が不妊症 !?
この春、初めてのお子さん を出産されたマリコさん( 34 歳)。
結婚から 8 年、不妊治 療を始めて3年後にやっと授 かり、喜びもひとしおです。
「ずっと生理不順でしたの で、“もしかしたら、将来赤 ちゃんができにくいかもしれ ない”という意識はありまし たが、まさか不妊治療が必要 とまでは思ってもいませんで した。
若い頃から自分の体に 向き合っていれば、生理不順 を放っておかなければ、もっと早く我が子を抱くことがで きたのではないかと、後悔し ています」と、反省しきりの マリコさん。
実は、「若いか ら」「たかが生理不順だから」 と、不妊症を見逃し、治療が 遅れるケースは少なくないの です。
妊娠したことがある、 だから「私は大丈夫」と
マリコさんは、8年前に大 学時代から交際していた 1 歳 年上のご主人と結婚。
子ども ができるまでは仕事を続けよ うと、結婚後も忙しい毎日を過ごしていました。
当時のマ リコさんの仕事は、結婚式や パーティーなどで生演奏をす る音楽家を派遣するコーディ ネーター。
やりがいがあって 楽しい反面、失敗は許され ず、休日出勤もしばしば。
「子 どもができるまでは頑張ろう と思っていたのですが、なか なか妊娠しませんでした。
そ の時はまだ 20 代でしたので特 に悩むこともなかったのです が、さすがに 30 歳を超える と“どうしてできないんだろ う?”という不安がよぎり、 まずは基礎体温を記録するこ とから始めました」とマリコさん。
すると、すぐに自然妊娠。
「なんだ、タイミングさえ合 えば妊娠するじゃない」と、 自分が不妊症であるなんて思 いもしませんでした。
ところ が、残念なことに流産してし まいます。
その後も基礎体温 を記録し続けましたが、 1 年 経っても再び妊娠することは ありませんでした。
初めての婦人科検診 もっと早くにしていれば
それからは妊婦さんや赤 ちゃんを抱いた女性を見るの がつらく、「家族が増えました」 といったお知らせや、赤ちゃ んの写真入りの年賀状などが 届くと落ち込むことも。
TVから流れる芸能人のおめでた のニュースさえ耳にするのが つらく、街を歩けばマタニティ マークにも過敏に。
「そこでやっと、原因を調べ てみようという気持ちになり ました」と、マリコさん。
30 歳を超えてからは日に日に“赤 ちゃんが欲しい”という思い が強くなったとも言います。
大好きだった仕事も思い切っ て辞め、妊活中心の生活へと シフト。
病院は妊婦もいる産 婦人科ではなく、知人の体験 談と通いやすい立地から、不 妊専門の秋山レディースクリ ニックを選びました。
まずは、検査。
その結果、 黄体機能不全、高プロラクチ ン血症、多嚢胞性卵巣症候群 などが見つかりました。
どれも“絶対に自然妊娠できない” というほどの悪い数値ではあ りませんでしたが、マリコさ んは「ショックを受けた」と 振り返ります。
「こんなにも多くの検査が必 要なのかと驚きました。
どの 機能も、少しでも異常があれ ば妊娠しづらくなる。
そんな ことすら知りませんでした。
どうして今まで生理不順を 放っておいたんだろう、なぜ これまで婦人科検診を受けて こなかったんだろうと、猛省 しました」とも。
体外受精に踏み切れず、 人工授精 11 回目で妊娠!
治療はタイミング療法から 始めましたが、マリコさんの生理周期は 40 日前後と長く、10 カ月続けても 7 回ほどしか チャンスはありません。
それ がもどかしく、すぐに人工授 精に。
すると、4回目には早 くも妊娠反応が認められまし たが、それも残念な結果に終 わりました。
「とても悲しかったけれど、 “まったく妊娠できない体で はない”ともわかり、少し安 心しました。
そこで、一般的 にはある程度の回数の人工授 精を試みたら体外受精へとス テップアップするのでしょう けれど、人工授精を続けるこ とにしました」
体外受精に踏み切れなかっ たのは、費用の面もあります が、「そこまでしないと子を産 めない、私はそんな体なんだ、 と認めたくなかったのが最大 の理由かも」とマリコさんは 言います。
「先生も“そろそろ体外受精 を考えてみては”とやんわり 提案してくれたものの、私の 希望を尊重して気長に付き 合ってくださったのが、あり がたかったですね」とマリコ さん。
そして、ついに 11 回目の人 工授精で妊娠。
それでも、母 子手帳をもらうまで、安定期 に入るまで、結局は出産する まで、不安でハラハラの連続 でした。途中経過を周囲に知 らせることもできず、「出産後 にやっと報告ができた」のだとか。
「いつでも産める」は過信 初潮から意識を高めて!
「自然妊娠で授かっても十分 にありがたいのでしょうけれ ど、ここまで頑張ったからこ そ、その何倍も嬉しい」と、 マリコさんは生まれたばかり の娘、穂波ちゃんを笑顔で見 つめます。
マリコさんは先日、秋山レ ディースクリニックに依頼さ れ、小学生なども含む一般の 方に向けて不妊治療の体験を 語りました。
「今、ここにある命のすべて は奇跡。赤ちゃんは勝手に生 まれてくるのではなく、お母 さんとお父さんの健康や努力 があってこそ。
いつか赤ちゃ んを産む日のために、若いう ちから元気な体づくりを心が けてほしい」と、訴えかけま した。
生理の異常を放っておかな いこと、婦人科検診は定期的 に、ワクチン接種などは積極 的に受けること、気づかない ストレスに注意することな ど、妊活以前に女性はまず若 いうちから自分の体に気を配 ることが大切。
「産みたい」 と思った時に産める体づくり は、初潮を迎えた時からすで に始まっています。
愛娘にも 「いつかは伝えたい」と、母 は心に決めています。