つらい治療も、きっと“思い出”になるはず

私のブログを見て、癒される人がいるのであれば。

つらい治療も、きっと“思い出”になるはず。

マンガにすることでストレスも発散 できれば、結末はハッピーエンドに!

結婚すれば自然に授かると思っていた 20 代、31 歳で結婚したものの、子宝に恵まれない現実。

「不妊治療するなら、記録しておこう」と、 何げない動機で始めたブログがやがて評判に。

「ジタバタする私を笑って」に、共感の声が!

記録マンガはまさにリアル 読者の声が、大きな励みに

インターネット上に数多ある 妊活ブログ。そのなかでも、妊 活ビギナーに特におすすめした いのが、今回ご紹介する鼓鳥た えさんの『鼓鳥たえとひだまり 銀猫の妊活きろく』です。

すで に話題のブログなので、目にし たことのある方も多いのでは?

作者のたえさんは歯科衛生 士の資格ももつ異色の漫画家 で、現在は漫画家アシスタント としても働きながら、治療を続 けています。

昨年 2 月から始め た不妊治療を記録として、読み やすく、わかりやすい漫画にし て綴っているのですが、現在進 行形で治療している当事者が描いているのですから、まさにル ポルタージュ!

どんなことか ら始めるのか、費用はどれほど かかるのか、妊娠のために良い と思われるこんなことを試して みたなど、参考になる情報が満 載。

担当医師との会話もリアル で、ご自身の心情も赤裸々に描 かれ、読者は思わず「頑張れ! でも、無理しないで!」と応援 したくなります。

「描きはじめたきっかけは、ま さに“記録”として残しておこ うと思ったから。

いつ、どんな 治療をしたか、お薬の副作用や 治療費のこと、そのときどん な精神状態だったかといった、 ちょっとした絵日記です。

おか げさまで読んでくださる方も増 えてうれしい反面、“妊娠するまでやめられないぞ!”という プレッシャーも(笑)。

いい意 味で、励みになっています」と、 たえさんは振り返ります。

不妊治療期間で克服した 実母と私との厄介な関係たえさんは広島のご出身。歯 科衛生士の資格を取得したの ち、地元の歯科医院に就職しま した。

ブログの中で「銀猫」さ んとして登場する 13 歳年上のご 主人とは知人の紹介で知り合 い、すぐに意気投合。

でも、ご 主人は東京在住。

しばらくは遠 距離交際が続くと思われました が、瞬く間に結婚へ。たえさん が 31 歳の時でした。

「初めて会った時、ずっと昔からの知り合いに会ったように話 が弾んで、ご実家にご挨拶にう かがった時も、なんだかとても 居心地がよくて、結婚に少しも 迷いはありませんでした。

交際 期間がほとんどなかったような ものなので、結婚してからが恋 愛期間に。

それで、子どもは今 すぐでなくてもいいかな、との んびり考えていました」

早く結婚して実家を離れた かったこと、温かく迎えてくれ たご主人の実家に憧れたこと、 子どもをつくるのに積極的では なかったこと、実はそれらには もう少し理由があります。

「もうすでに自分の中では解決 しているのですが、実の母との 関係があまり良くなかったこと も潜在的な理由としてあったのかもしれません。

もし女の子が 生まれたら、上手に関係を築け るだろうか、という思いも多少 ありました」と、たえさん。

「若いうちに、親になる心の準 備がないままに子どもを産む よりも、心から“欲しい”と願っ て不妊治療に取り組むことで、 子どもが生まれてからのこと まで、いろいろなことを考え る時間を得ることができまし た。

あくまでも私の場合です が、そのほうがよかったのか もしれません」

不機嫌でも、ご機嫌でも、 結果が同じなら“ご機嫌”で

たえさんのブログに驚かされ るのは、不妊治療につきまといがちな、つらさや悲壮感がまる でないこと。

がっかりすること もあるけれど、いつも前向きで、 いつも一生懸命。

体力アップの ためにと始めたウォーキングで 夫の銀猫さんと一緒に歩きなが ら、「子どもがいなくても、こ のまま二人でも幸せかも」と感 じたりと、不妊治療を通して夫 婦の絆がぐっと深まっていく様 子にもほのぼのします。

「夫も協力的ですし、姑も良き 理解者ですし、不妊以外にこれ といった悩みがないからかもし れませんが(笑)、読んでくださ る方が不快な気分にならないよ うにというのは、十代の頃から 少女漫画を描いていた私のルー ルのようなもの。

もちろん、精 神的にも肉体的にも“キツイな”と思うことはたくさんあります が、不妊治療をしようと決めた のは私自身ですから、なるべく 弱音を吐きたくないのです。

思 い悩むほどに妊娠しやすくなる のなら話は別ですが、毎日を明 るく過ごしたほうが、なんだか 幸運に恵まれそうな気がしませ んか(笑)?」と、たえさん。

ブログの中でも、「赤ちゃんの 居心地のいい場所づくりをする とイイらしい」と夫婦で突然断 捨離したりと、幸運をつかむた めには、たとえジンクスであっ ても積極的に挑戦。鳥のフンが 落ちてきた、水漏れした、といっ たトラブルまで「きっと、良い ことがある兆しに違いない!」 ととらえ、極めつけは「果報は 寝て待て!」とも。

「すべては 気のもちよう」という“心の整 え方”も、見習いたいものです。

不妊だからブログが描けた すべてのことに意味がある

不妊治療を始めて、この夏で1 年半。タイミング指導、人工 授精を経て、この夏から顕微授 精にステップアップへ。

「自宅近くの不妊専門クリニッ クに転院したところ、男性不妊 の検査もすすめられ、その結果 精子に問題があることがわかり ました。

それで、これまで難色 を示していた夫のほうが、ステッ プアップを望むように。

今年で 私は 36 歳、夫は 49 歳ですから、 もっと早くにステップアップし たほうが良かったのかもしれませんが、これまでのプロセスも 決して無駄ではなく、きっと何 か意味があるのだろうと思って います」と、言うたえさん。

ご 主人自身がその気になってくれ るまで、焦らずに、じっと待ち 続けた甲斐がありました。

「私たち夫婦が不妊だったから、 このブログが誕生しました。

自 分の体を見つめ直すこともでき ましたし、今まで体を労ってこ なかったことにも気づけたのは、 まさに不妊症だったからこそ。

多くの方から励ましのメールを 頂戴したり、仕事仲間や家族の 理解、優しさなど、これまでに 得られた経験はかけがえのない 宝物です。

この場をお借りして、 お礼を申し上げさせてください」 と、頭を下げます。

「私の仕事は割とマイペースで できる業種ですが、多くの方は、 フルタイムで働きながらもっと 大変な思いをされていると思い ます。

もうすでに十分すぎるぐ らい頑張っていると思うので、 “お互いに頑張りましょう”なん てことはやすやすと言えません。

“大好きなコーヒーを断つ!”と 言いながらうっかり飲んじゃっ たり、“趣味のサイクリングもや める!”と宣言しながら、たま には……などと、とことん自分 に甘い私のブログを見て、“しょ うがないヤツだなぁ”と、笑っ ていただければ本望です」

これからの、たえさんのブロ グが『妊娠きろく』、『子育て編』 に続くことを、待ち望みたいも のです!

>全記事、不妊治療専門医による医師監修

全記事、不妊治療専門医による医師監修

不妊治療に関するドクターの見解を取材してきました。本サイトの全ての記事は医師監修です。