慢性子宮内膜炎は再検査が必要?

慢性子宮内膜炎の検査をしたところ、子宮鏡検査は問題が無かったのに、CD138の検査では陽性に。現在、服薬中ですが、1回の治療で治るものなのか、飲み終わった後、再検査が必要など丸山記念総合病院の副院長である丸山正統先生に聞いてみました。

丸山記念総合病院 副院長 丸山 正統先生 
順天堂大学医学部卒業。医学博士。2000年より医療法人 慈正会 丸山記念総合病院 産婦人科、2017年に同副院長。 日本産科婦人科学会 専門医・指導医、日本産科婦人科内 視鏡学会技術認定医(子宮鏡、腹腔鏡)、生殖医療専門医。

 

慢性子宮内膜炎は再検査が必要?

相談者:kさん(29歳)今、29歳。慢性子宮内膜炎の検査(子宮鏡とCD138)を行いました。子宮鏡検査では問題なく、きれいな子宮だといわれました。CD138の結果は、20視野で78個との結果でした。5個以上が陽性とのことで高い数字に驚きました。ビブラマイシンを朝夕2回、14日飲むように言われました。通っている病院では、ビブラマイシンで9割が治るとのことでしたが、78個という高値でも1回の治療で治るのでしょうか。9割の人が治るということであれば、再検査はせずに移植したいと思っていますが、やっぱり検査はした方がいいでしょうか。

慢性子宮内膜炎とはどのような病気でしょうか。また、不妊治療や妊娠についてどのようなリスクがありますか。

慢性子宮内膜炎とは、受精卵が着床し赤ちゃんを育てていく子宮内膜という組織に炎症が起き、それが慢性的に続くトラブルのことです。着床を妨げる、妊娠初期に流産しやすくなる原因の1つといわれています。ただ妊娠率を下げる可能性は否定できませんが、慢性子宮内膜炎があると絶対に妊娠できないというわけではありません。

一般的にどのようなときに検査が必要と判断されるのでしょうか。

相談者のkさんはどのような経緯で慢性子宮内膜炎の検査をすることになったのかはわかりませんが、当院の場合は、妊娠を希望しているのになかなかうまくいかない時、超音波で子宮の状態をまず確認をし、子宮がきれいな状態ではない可能性がある場合、CD138の検査を行います。

CD138とは、子宮内膜に炎症を引き起こす原因と考えられている免疫細胞のことです。子宮内に器具を入れて子宮内膜の組織をこすって採取し、CD138という細胞が検出できるかを検査します。個人差はありますが、検査時の痛みはほとんどなく所要時間も数分です。検査費用は自費になります。

ただ、CD138に感染=妊娠できない、というわけではありません。おそらく検査をしていないだけで、CD138に感染していても妊娠されている方はいると思います。

検査の結果、CD138に感染しているとわかった場合、どのような治療が行われますか。

kさんも服用されてますが、一般的には抗生剤であるビブラマイシンという薬を14日間飲みます。抗生剤を飲んだ後は、子宮内膜で炎症を起こしている部分の発赤が治まります。ただ、ビブラマイシンを服用して治療することが妊娠率のアップにつながるかのエビデンスは、きちんと出ていると言い難いです。

kさんのように高値の陽性の場合、ビブラマイシンを服用した後に再検査をした方がいいのでしょうか。

CD138の診断基準は20視野のうち5個~10個以上で陽性と診断されますが、kさんの場合は78個と確かに高値ではあります。ただ、高値だと治りづらいかは一概には言えず、治ったか、前の状態よりも良くなったかは、再検査をしてみないとわかりません。再検査をしてみて良くなっていなかった場合、薬を変えてみるという選択肢も出てきます。

ただ、患者さんが「早く妊娠したいので検査はせずに早く移植したい」と言い、主治医が納得するならば再検査なしで移植をしてもいいかなと私は考えています。

kさんに向けてアドバイスがありましたらお願いします。

慢性子宮内膜炎は、子宮内膜に炎症を起こすトラブルで、妊孕性を低下させる可能性はありますが、絶対的な不妊因子ではありません。またCD138の検査も同様で、検出された=妊娠できないというわけではありません。CD138があったとしてもそれを知らずに妊娠、出産されている方もいらっしゃると思います。ただ、妊娠をめざすにあたって不安材料にはなります。保険適用できる移植の回数には限りがあるので、リスクを減らした状態で移植に臨むなら、その前に慢性子宮内膜炎についての検査や治療を行うのがいいでしょう。

 

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