27歳で4回採卵、移植するも妊娠しない。
考えられる原因は?
着床しなかった理由は、はむさんの考えているように染色体異常が原因でしょうか。また、はむさんの年齢(27歳)で染色体異常はよくあることですか。
福田先生● 20代ですと、全胚盤胞のうち染色体異常があるものは約30%といわれています。言い換えると7割近くの胚盤胞には染色体異常はないということになります。絶対にないとは言い切れませんが、はむさんの場合、着床できない理由は染色体異常以外ではないかと私は思います。
では、どのようなことが原因と考えられますか。はむさんは受精卵のグレードが低いことも気になっているようです。
福田先生●そうですね。受精卵の評価をする際、胚の分割状況によって1~6の数字と、2つのABC の組み合わせで表すガードナー分類というものがあります。一般的にBB 以上の受精卵を移植すると妊娠率が高くなるといわれています。はむさんの胚盤胞はいずれも4BC ということなので、もう少し良いグレードの受精卵ができてほしいところです。ただ、グレードの良いものが必ず着床するわけではないですし、グレードが低いからといって着床しないわけでもないことを心に留めておいてください。
また、年齢と採卵数から考えると胚盤胞になる受精卵がもう少し多いのが一般的なので、卵巣の刺激法が合っていない可能性もあります。
ではどんな刺激法がいいでしょうか。
福田先生●今まで高刺激法だったので、次は低刺激法を試してみるのがいいと思います。はむさんのAMH をみると2・74ng/mlと年齢から考えると低めなので、今までの方法だと卵巣への刺激が強すぎたのかもしれません。
それ以外にやっておいたほうがよい検査はありますか。
福田先生●次の採卵へ行く前にいくつか受けたほうがいい検査があります。
子宮内膜症などがあると卵子の質が低下する可能性があります。また、受精卵を受け入れる子宮にトラブルがあると着床の妨げになるケースもあるので、一度子宮鏡検査を受けてみてください。
また、ベストな着床時期と担当医の想定とがずれている可能性があります。最適な着床のタイミングを確認できる子宮内膜着床能検査(ERA 検査)を受けるといいでしょう。また、子宮内膜に軽度の炎症が継続して起こる「慢性子宮内膜炎」も着床不全を引き起こす原因に。ERA 検査と慢性子宮内膜炎の検査は、保険診療と併用できますが、自費となります。主治医に相談してみてください。